[ポスター58-5] がん薬物療法中にCOVID-19に罹患した肺がん患者の思い
【緒言】COVIDー19が蔓延する中、生きるためにがん薬物療法の継続を必要とする切除不能・進行肺がん患者は、治療の遅延など様々な影響を受けている。A病棟は、肺がん患者が大半を占めており、がん薬物療法中にCOVIDー19に罹患する患者が令和X年の8ヶ月間で25名認めた。先行文献では、担癌患者のCOVIDー19による死亡リスクが通常の約2倍高いことや、COVIDー19パンデミックによって、がん治療中の患者は様々な懸念や不安を抱えていることが明らかになっている。A病棟でも「コロナになり治療ができなくて困った。肺がんもあるのにコロナになって大丈夫かな」という言葉が聞かれた。しかし医療の逼迫や慣れない感染対策の中で看護師は患者の思いを充分に聞くことが難しく、患者への声かけや対応に悩むことが多かった。そのためCOVIDー19罹患歴がある肺がん患者の罹患当時の思いを明らかにすることで、患者の理解を深め、看護の質の向上につなげていきたいと考えた。【目的】がん薬物療法中にCOVIDー19に罹患した肺がん患者の思いを明らかにする。【方法】COVIDー19罹患時にがん薬物療法を受けていた患者4人に半構成的面接を行った。またA病院の倫理審査委員会にて承認を得た(番号230609ー5)。【結果】分析の結果[COVIDー19感染による発熱がしんどい][活動が制限されたことにより便秘になって辛い][活動制限や慣れない環境での療養生活が大変][肺がん治療による副作用とCOVIDー19感染による症状が重なることを考えると怖い][COVIDー19感染が肺がん治療にどう影響するのかわからず不安][入院中にCOVIDー19に感染したことがショック][COVIDー19に感染したことは仕方がない][体調の変化が抗がん剤によるものかCOVIDー19感染によるものかわからない][COVIDー19感染と肺がんの治療を結びつけて考えてない][再度COVIDー19に感染すると思うと怖い][外出を控えるようになり楽しみがない][医療従事者の対応には感謝している][看護師に希望に沿ったケアをしてもらえず困った]の13カテゴリーが抽出された。【考察】患者は、COVIDー19の罹患による治療への影響に対する不安や療養環境の変化による苦痛を感じ、またCOVIDー19再感染への恐怖から外出を控えるなど日常生活にも影響していた。そのため看護師は、患者が思いを表出できるような環境を作り、正しい感染対策を患者に提供していくことが必要である。また、COVIDー19に罹患することで予測される症状に関しては、対応策をクリニカルパスに組み込むことで迅速に対応できるようにしていくことも対策の一つであると考える。【結論】患者の思いを傾聴し、不安に寄り添い、患者それぞれのニーズに沿った看護を提供していきたい。