第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター58群 意思決定支援②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:中村 久美

[ポスター58-6] 喉頭摘出患者の意思決定支援の関わり

~看護師が抱くコミュニケーションの困難さ~

俵積田 麻衣, 寺田 梢, 木佐貫 彩果, 山形 麻里子, 中川 勇樹 (鹿児島医療センター)

【緒言】 先行研究では、がん患者の意思決定支援における看護師の困難感の特徴は、看護師の対応が患者・家族にとって最善なのかの迷いと葛藤、知識・経験不足および未熟さを起因とする行き詰まりと不安、他業務に追われ多忙なことに起因した辛さであった。喉頭摘出術後失声した患者に限定した意思決定支援時のコミュニケーションにおける困難さの先行研究は見当たらず本研究に取り組んだ。 【目的】 喉頭摘出術を受け失声した患者の意思決定支援の関わりで看護師が抱くコミュニケーションの困難さの要因を明らかにする 【方法】 A病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号2023-17)。研究対象看護師へ研究の趣旨を文書と口頭で説明し、同意が得られた看護師に対して半構成的面接を実施。面接内容は同意を得たうえで録音、逐語録を作成。内容をカテゴリー化した。 【結果】 協力者11名に面接した結果、<時間確保の難しさ><内向的性格><知識、経験不足><面会制限><医療者間の情報共有不足><非言語的表現の汲み取りにくさ><ボディイメージの変容に対する気持ちの変化>の7つの大カテゴリーを抽出、20のサブカテゴリ―、62のコードが含まれていた。 【考察】 <内向的性格><ボディイメージの変容に対する気持ちの変化><非言語的表現の汲み取りにくさ>は患者本来の性格や術後のコミュニケーションツール、気持ちの変化によるもので患者要因と考えた。<時間確保の難しさ><医療者間の情報共有不足><知識・経験不足>は業務の繁忙さや看護師の知識経験不足によるもので医療者要因と考えた。<面会制限>はコロナ禍により、患者・家族が直接会って話をする機会が減ったことにより生じた環境要因と考えた。業務が繁忙でコミュニケーションに費やす時間の確保の難しさがあり、患者に遠慮気遣いをさせ、思いの表出が十分にできていない可能性がある。看護師が喉頭摘出患者とのコミュニケーションの中で抱く困難さは、失声にて患者の思いを聴取することが難しいという結果を仮定していたが、失声に関わらず意思決定支援での明らかな困難さの違いはないことが示唆された。そのため、喉頭摘出患者との関わりにおいても表情やしぐさ、視線、沈黙などの非言語的な情報から患者の思いを汲み取る必要がある。がん患者の意思決定支援では、看護師の時間管理や患者にゆとりを感じさせる感情コントロールなども重要である。コミュニケーションに費やす時間確保のため、業務調整を行い患者と向き合う姿勢を大切にすることが必要である。【結論】・7つの大カテゴリーが抽出され、患者要因、医療者要因、環境要因にわけられた。 ・言語的コミュニケーションに捕らわれることなく、患者の持っている能力を最大限に活かし、患者と向き合う姿勢を大切にしていくことが必要である。