[ポスター59-3] 日帰り大腸ポリペクトミー後の満足度調査
患者のニーズに応じた看護を目指して
【緒言】近年cold snare polypectomy (CSP)の導入および内視鏡手技の進歩により、大腸ポリペクトミー後の管理は、入院から日帰り治療に変化してきている。A病院においても202×年7月より患者ニーズの多様性に視点を置きCSPを用いた日帰り大腸ポリペクトミーを導入している。今回患者のニーズに応じた看護を目指して、日帰り大腸ポリペクトミーを受けた患者に対し患者満足度調査を行い、今後の課題について検討したので報告する。【目的】日帰り大腸ポリペクトミー後の患者満足度と問題点を明らかにする。【方法】A病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号N-202301)。研究では、日帰り大腸ポリペクトミーを受けた30名の患者の属性や術後の状況を調査した。さらに患者満足度を電話による半構造化インタビューで評価し、帰宅時の説明書の理解度や手術の満足度、今後の希望について尋ねた。【結果】対象者の平均年齢は65.5歳であり、男性17名、女性13名であった。全員が重篤な基礎疾患や抗血栓薬の内服はなくADLは自立しており、CSPのみの処置を受けた。電話による半構造化インタビューから得られた情報により主な偶発症は、後出血や腹部膨満感などであった。帰宅時の説明書の理解度については、帰宅後に食事制限・禁酒を28名が守り、重労働・運動制限については全員が守った。しかし、2名の方が油物を摂取しており、食事内容が解りにくかったと回答した。患者満足度調査の結果、日帰り大腸ポリペクトミーを受けた患者の80%が満足またはとても満足と回答した。満足の理由は自宅でのリラックスや入院の時間的拘束のなさ、入院費用の節約が主な要因であった。一方で、不満の理由は後出血や鎮静剤使用後の不安、任意保険の補償外などが挙げられた。【考察】患者満足度調査の結果、満足と回答した80%の方が、同居要介護者の介護に関わる事情が影響している可能性が高いと考えられた。後出血に関しては、文献上の頻度や対応について患者への十分な説明と連絡体制の強化が必要である。鎮静剤の使用や任意保険に関する不安に対しては、より詳細な説明や情報提供が求められる。今回用いた説明書の内容の改善や帰宅後の患者教育の強化が満足度向上に貢献すると考えられた。今回の対象者へのインタビュー調査は、主に術後1日目の朝と2日目以降に実施されたが、中には1ヶ月経過しているケースもあり、当時の状況を思い出して回答することが求められた。また、インタビューで2日目以降も出血が持続していたという事例もあったため、患者本人から術後合併症の報告を受けるためのシステム整備が必要であると考えられた。【結論】日帰り大腸ポリペクトミーは患者満足度が高かった。術前の積極的な傾聴や症状マネジメントが必要であることが示唆された。