第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター59群 治療・検査に伴う看護

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:若松 香織

[ポスター59-4] 大腸内視鏡検査を受ける患者の困りごとについての実態調査

森下 実菜子, 松島 美穂, 長谷 紗和, 千村 貴美子 (徳島赤十字病院)

【緒言】大腸内視鏡検査(以下,CS)を受ける患者の不安調査研究はあるが,CS患者がどのようなことで困っているのか実態を調べた先行研究は見当たらなかった.CS患者の検査や検査前準備における困りごとを明らかにすることで,今後,より患者が求めている検査前説明を行い,検査の安全性を向上させることに繋がると考え本研究に取り組んだ.【目的】CS患者の検査や検査前準備における困りごとを明らかにする.【方法】A病院の外来CS患者に無記名自記式質問紙を配布した.内容は,CSに関する困りごとがあったか,困りごとの内容,説明時に望む期待や希望についてとした.結果は単純集計,対象者の属性と困りごとがあったかでχ²検定を行った.自由記載は意味の類似したものをまとめた.本研究はA病院倫理員会の承認を得て実施し,本研究で得られた情報は個人が特定されないよう番号化しプライバシーの保護,個人情報保護を行った.【結果】配布230名に,回収211名,有効回答200名(有効回答率87%)であった.困りごとがあったかでは「かなりある」9名(5%),「少しある」48名(26%),「どちらともいえない」21名(12 %),「ほとんどない」80名(44%),「全くない」23名(13%)であった.困りごとの内容では選択者の多いものから「検査中の痛みや苦しさに対する不安がある」82名,「検査後,どのような症状や体調面の変化があるのか気になる」76名,「自分の体調面の不安がある」65名であった.対象者の属性と困りごとがあったかの関連では,「性別」と「大腸検査歴」で有意差が認められた.【考察】検査中の痛みや苦しさに対する不安が多かったのは原田の研究と一致していた.検査に関する痛みや苦しさ,検査後の体調の変化,体調面の不安に対しては,検査前説明時の傾聴で不安を軽減し,必要な情報提供ができると考える.クリティカルパス導入により,検査前日から検査後の生活までのスケジュールを理解しやすくなり,検査中や検査後の情報も提供できると考えられる.女性は男性より困りごとが「かなりある,少しある」と感じている割合が多く,羞恥心や排泄に対する不安を感じさせない環境づくり,自宅で安心して前処置ができるよう支援することが必要だ.初回の患者の不安に対しては,検査前説明時に検査や前処置に関する映像視聴,検査室見学を行うことで前処置のイメージができ,不安の軽減に繋がると考える.【結論】困りごとについて「かなりある」「少しある」と答えた患者は31%であり,困りごとの内容の上位項目は「検査に関する痛みや苦しさ」「検査後の体調の変化」「体調面の不安」であった.対象者の属性と困りごとがあったかの関連では,「性別」「大腸検査歴」で有意差が見られた.本研究により患者前説明においてクリティカルパスや説明の映像化が必要であると示唆された.本研究は1施設での当該施設に限られた内容のため,一般化するには限界がある.