第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター59群 治療・検査に伴う看護

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:若松 香織

[ポスター59-5] 大腸内視鏡検査前における水分摂取の効果

経口腸管洗浄剤服用量減量に向けた取り組み

稲津 彩子, 高橋 也子, 鳥谷部 咲子, 坂田 真希, 中野渡 礼子 (十和田市立中央病院)

【緒言】A病院消化器内科病棟での大腸検査入院は、75歳以上が約半数を占めている。高齢者にとって経口腸管洗浄剤を多く服用する事は苦痛を伴い、排便回数も頻回になるため疲労感も強い。そのため最低服用量で最大効果が得られる事が望ましい。先行研究では、「検査食と前日の水分摂取を追加する事で腸管洗浄効果が得られ追加処置が減少した」と報告されている。そこで看護師が統一した手順で水分摂取を促す事は経口腸管洗浄剤の服用減少につながるのではないかと考えた。【目的】大腸内視鏡検査前処置時に水分摂取のすすめ方を検証する事で、前処置時の水分摂取量が増加し経口腸管洗浄剤服用量が減少できるかを明らかにする。【方法】202X年1月、看護師の実態調査から課題を抽出、患者への水分摂取のすすめ方の手順書を作成。対象者は対照群(介入前)31名、実験群(介入後)30名であった。実験群患者へ看護師が手順書を使用し水分摂取方法を説明、介入前後で水分摂取量・排便調査を単純集計。倫理的配慮として対象患者には本研究に参加しない事で不快、不自由、診療上の不利益を被る事はないと説明し、A病院倫理審査委員会(審査番号A-4-6)にて承認を得て実施した。【結果】看護師の実態調査で、具体的な水分量のすすめ方が分からないという課題が抽出された。手順書を使用後は検査前日と起床後に全看護師が水分摂取をすすめる事ができた。検査前日の日勤帯で250ml、準夜帯で250ml、検査当日の深夜帯で500ml以上を目標に水分摂取をすすめ、介入後平均230ml増加したが、P=0.115で有意差はなかった。滴下型緩下剤服用後から起床までの夜間水分量は介入後に平均110ml増加し増加しP=0.041で有意差を認めた。(p<0.05)経口腸管洗浄剤量は介入後平均116ml減少したがP=0.094で有意差はなかった。【考察】看護師の実態調査から、具体的な水分のすすめ方が分からず個人の判断で水分摂取をすすめていたと考える。手順書を使用する事で、看護師は水分摂取の必要性を理解し、統一した説明ができた。そのため有意差はなかったが水分摂取量は増加し経口腸管洗浄剤量は減少したと考える。滴下型緩下剤内服後から起床までの夜間の水分量は介入後に有意差が認められたが、「トイレの回数が増えるからいやだ」と拒否した患者もいた。経口腸管洗浄剤は脱水に傾き、体力消耗や疲労感に伴う転倒などの2次的リスクや嘔吐など腹部症状の影響が出現しやすい。患者に水分摂取をしない事のリスクや水分摂取をする事で経口腸管洗浄剤の服用量が減る事を十分に説明する事が必要である。【結論】大腸内視鏡検査前処置時に患者への水分摂取量のすすめ方を統一する事で、前処置時の水分摂取量が増加し、経口腸管洗浄剤服用量が減少できた。統一した水分摂取のすすめ方は大腸内視鏡検査を受ける患者の安全・安心につながるため、今後は患者の状態に合わせた水分摂取も必要であると考える。