第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター6群 がんとともに生きる人と家族への支援

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:津村 明美

[ポスター6-1] 地域包括ケア病棟看護師のがん薬物療法に関する知識調査

中村 典子1, 戸田 美穂子1, 堀之内 登2 (1.津久見中央病院, 2.大分大学医学部総合診療・総合内科学講座)

【緒言】病棟看護師のがん薬物療法に関する知識は、入院患者が安全にがん薬物療法を継続するために重要である。A病院では202X年4月よりがん薬物療法を実施する病棟を急性期一般病棟から地域包括ケア病棟に変更し、主に大腸がん・胃がんなどに対し標準的治療を行っている。この変更前に、病棟看護師を対象にがん薬物療法についての研修会を実施した。A病院の地域包括ケア病棟看護師が研修会を終えて、がん薬物療法に携わるようになってから1年が経過するが、同院病棟看護師のがん薬物療法に関する知識の現状は明らかでない。【目的】A病院の地域包括ケア病棟看護師のがん薬物療法に関する知識の現状を明らかにする。【方法】本研究はアンケート調査による記述研究である。A病院に勤務する202X年2~3月の研修会に参加した地域包括ケア病棟の看護師17名を対象に無記名自記式アンケート調査を行った。看護師およびがん薬物療法経験年数と、がん薬物療法についての研修会で取り扱った項目についての理解度を調査した。理解度は「十分に習得できている」「ある程度習得できている」「あまり習得できていない」「全く習得できていない」の4段階による自己評価で調査し、回答の分布を記述した。本研究は、B大学病院倫理審査委員会の承認を受けて行った(承認番号2601)。対象者に文書を用いて研究の目的や内容について説明し、質問紙の回答・回収をもって同意を得た。【結果】アンケート回収率は88%で、すべてが有効回答であった。看護師の経験平均年数は23年、がん薬物療法の経験平均年数は1年4か月であった。質問内容9項目中8項目は「ある程度習得できている」と回答した看護師が最も多かった。「抗がん剤の種類と副作用について」の項目は77.3%の看護師が「あまり習得できていない」と回答した。習得できていない理由としての自由記載には「まだ、十分といえるほどの実践をこなしていない」といった意見があった。【考察】「抗がん剤の種類と副作用について」は、あまり習得できていないと回答した看護師が多かった。これはがん薬物療法経験平均年数が1年4カ月と少ないことが関連している可能性がある。地域包括ケア病棟看護師は、在宅・生活復帰支援業務を担っており、その中で専門性の高いがん薬物療法を実施しなければならない。そのため、知識の再確認のためにPDCAサイクルを回し定期的に研修会を実施する必要性があると考えられる。【結論】A病院の地域包括ケア病棟において、抗がん剤の種類と副作用についての項目では「あまり習得できていない」と回答した看護師は77.3%であった。安心・安全・確実にがん薬物療法を継続するために、PDCAサイクルを回し定期的に研修会を実施してがん薬物療法に関する知識の定着を図ることが重要である。