[ポスター61-1] テンプレートの再開発の効果
心不全患者の指導内容の統一に向けて
【目的】心不全患者の退院後訪問・電話連絡時の記録内容と指導内容が統一できていなかった為,記載用のテンプレートの再開発を行った。その効果を検証する。【方法】心不全と診断された入院患者への退院後の電話記録・退院後訪問記録の実態調査（他者評価）,B病棟看護師への質問紙調査（自己評価）をテンプレート改訂前後で実施。質問紙調査結果・看護記録による実態調査に関するデータを統計的仮説検定χ²検定・ｔ検定を行い,統計学的有意水準5％未満とした。倫理的配慮として,所属施設の倫理委員会の承認と研究協力者には文章と口頭で研究の説明を行い,同意を得て実施した。【結果】質問紙調査の結果として,テンプレートの使いやすさの平均点で改善が見られた。改訂前の記録の実態調査では聞き取りを行っている項目のほぼ全てで自己評価より他者評価が低値を示した。改訂後の調査では検脈を除く全ての項目で自己評価を他者評価が上回った。各項目の実施の割合に対し,対応のあるｔ検定を行い電話連絡・退院後訪問共に改訂後の他者評価で有意に高くなった。また,各項目のできた,できていないの評価について自己評価・他者評価の前後をχ²検定で比較し,電話連絡の他者評価で有意に高くなった。また,改訂後の電話連絡・退院後訪問共に10項目で全てのスタッフが聞き取りを実施出来た結果となった。記録の記載率は改定前75％,改定後36％であった。【考察】改訂前後の他者評価で有意差が出たことから,改訂を行ったことで聞き取り内容の充実が図れたと考える。また,18項目中10項目で聞き取り率が100％となっており,看護師の経験年数による指導内容の差を減らすことができた結果となった。「水分」,「運動」の2項目で有意差が出ていないが,これは改訂前より既に聴取できているスタッフが多かったことが影響している。今回質問紙調査結果にて,病棟経験年数が浅いスタッフから「まだ良くわからないのでテンプレートがあってよかった」との意見があり,テンプレートを使用することで指導内容の統一に繋がっていると考えられる。記録の記載率の低下については,病棟の診療科の編成があったこと,部署異動などで病棟経験年数が少ないスタッフも対象に入っていたため,今後は定期的にスタッフ教育をすることが重要と考えられる。