第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター61群 心不全の人への支援

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:印東 真奈美

[ポスター61-2] 心不全患者の自己管理に対する気持ち・傾向と介入方法の検討

心不全手帳の記載有無でのセルフモニタリング状況の調査

谷川 久美子, 中得 順, 吉住 亜希, 徳光 邦香, 糸山 瑠海, 岡上 亜子 (京都山城総合医療センター)

【緒言】先行研究で自己管理上心不全手帳(以下:手帳)の利用が効果的と言われているが、その記載率はおよそ50%と言われている。患者が手帳に記載することを負担に感じている可能性がある。手帳記載する患者としない患者の違いが何故生まれるのか、患者の気持ちや考え方に着目した先行研究は見られなかった。【目的】退院後も手帳を記載している患者としていない患者の特徴、気持ちや自分の性格をどう捉えているかを明らかにし、手帳を利用したより効果的なセルフモニタリングの行動を促す方法を検討する。【方法】202X年X月~12ヶ月間にA病院A病棟に心臓疾患で入院し、看護師より手帳の記載方法の指導を受けた患者のうち、退院後もA病院外来に通院を継続している患者を対象とした。退院後の外来通院時に質問紙を配布した。手帳記載群と記載なし群との間で属性や手帳の記載を勧めた職種、手帳を記載することに関してどう思うか(10項目)、自分自身の性格をどう思うか(10項目)について調査した。記載群と記載なし群でそれぞれの項目は相関分析(spearman)を実施した。分析はIBM SPSSstatistics Ver.29を使用した。 質問紙は無記名とし、調査票は研究以外の目的では使用せず個人が特定される形で外部に情報を知らせないこと、質問紙に回答しなくても医療上不利益を受けないことを説明した。調査票の提出をもって同意とした。本研究はA病院倫理審査委員会の承認を得て実施した(受付番号2022-18)【結果】21名を有効回答とし分析対象とした。手帳記載を勧めた人数として記載群は平均1.8職種、記載なし群は平均0.73職種となった。手帳記載の中断は平均3.75ヶ月。記載群と記載なし群に分け、相関関係が認められた項目として「1番はじめに心臓疾患と診断されてからの期間」、「手帳をつけることを勧めた職種数」、「手帳を記載することは安心する」、「手帳を記載することは面倒だ」が認められた。手帳を「知らない」と回答したものもいた。その他の項目では記載群、記載なし群で有意差は無かった。【考察】診断からの期間が短い患者は疾患増悪に対して危機感があり、医療者からのアドバイスを素直に受け入れ手帳の記載行動につながった可能性がある。より多くの専門職から手帳記載を勧められることで、手帳記載の重要性を患者が認識し面倒に思わず手帳に記載し安心感につながっていた。手帳が無くなった、手帳記載内容に変化がない状況では手帳記載が中断されやすい。手帳を利用した自己管理以前に、自身の病名や病状を把握していない患者がいる。【結論】心臓疾患の診断から早期に多職種で患者に介入し手帳の記載を指導することで、患者は手帳記載を面倒に思わず習慣化し安心感につながる。手帳の記載が中断されやすい手帳記載開始3~4ヶ月頃に患者との関わりを強化することで手帳の記載中断を防げる可能性がある。本研究は調査対象者が少なく更なる調査が求められる。