[ポスター61-6] 心不全治療薬の理解を高めるかかわり
高齢者世帯の再入院患者への服薬指導
【緒言】A病棟では、内服の必要性が理解できていない再入院高齢者世帯の患者が多い。内服指導では非代償期に視覚教材を使用することが効果的であると言われ、内服の必要性について理解を高められるのではないかと考えた。【目的】再入院をした高齢者世帯の患者を対象に、視覚的な指導から内服の必要性の理解を高められたかを明らかにする。【方法】対象者:75歳以上の心不全非代償期にある再入院患者4名。方法:心不全治療薬と作用、中断した際に起こりうる症状、内服継続の重要性を記載したカードを見やすい工夫をし作成した。作用、中断した際のリスクについて指導を行いその後理解度の確認をし、患者が3回正答できたら指導終了とした。初回外来受診時に非代償期に視覚教材による指導を受けた感想や意見、退院前後での管理方法の変化の有無、飲み忘れを防ぐための意識や工夫等について聞き取り調査を行った。退院時と初回外来受診時に、再度カードを使用し内服薬の理解度確認を行った。分析方法:聞き取り後に対象者からきかれた内容をカテゴリ化して分析した。倫理的配慮:対象者に研究の目的・方法、参加は自由意思であること、公表することを文章で説明し同意を得た。A病院の臨床倫理委員会の承認を得た(承認番号2023-052N)。【結果】対象者の概要は、男性1名、女性3名。家族構成は、配偶者と2人暮らしが3名、独居が1名。再入院回数は、2回目が3名、6回目が1名。再入院要因は、内服中断、病識欠如、水分塩分過多。心不全薬剤数は、2剤~4剤。入院時、4名とも作用・中断した際のリスクの理解をしていなかった。飲み忘れがあった患者は2名、自己中断があった患者は1名であった。退院後の初回外来受診時にカードを用いた指導を再度行った。全員飲み忘れ、自己中断がなかった。退院時と比べ理解が向上又は維持できていた患者は3名であった。聞き取りにより得られたデータの内服の必要性の理解に関連のあった文脈から、4つのカテゴリ≪内服することで得られる効果のイメージ≫症状が軽減することで内服薬の効果を感じた≪内服効果と症状の実感≫指導を受けたことで内服薬が大事だと感じた≪内服薬の重要性の実感≫≪内服薬に関心を持つ≫が抽出された。【考察】視覚教材により見えにくい効果のイメージが得られたことと同時に、症状とのつながりが実感できたことで理解が進んだ。自分が内服している薬がどのような効果があるのか関心を持つきっかけになったと考える。【結論】視覚的な指導は内服の必要性の理解を高めることができた。症例数が4例の結果であったことから一般化するには研究の限界がある。今後は症例数を重ね高齢者世帯であってもアセスメントし個別性に合わせた指導方法の工夫をすることで、理解が進む可能性が示唆された。