[ポスター61-5] 心不全チームにおける専従看護師の役割発揮と効果
―患者教育・意思決定支援・退院支援への効果を検討する―
【背景】202X年6月から慢性疾患看護専門看護師が心不全の地域連携・疾患指導・意思決定支援の充実を図るために専従活動を開始した。【目的】専従看護師としての活動前後の心不全患者指導、地域連携、意思決定支援状況の課題を明らかにする。【実践内容・方法】A病院に緊急入院した心不全患者を対象とし、専従看護師活動前202X/5/1~202X/5/31(以下活動前)、専従看護師活動後の202X+1/2/1~202X+1/2/29(以下活動後)とした。調査項目は、患者背景(年齢・性別・介護保険状況・認知症の有無)、疾患関連要因(入院日数、血清データ、左室駆出率)、心不全指導時間、アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)への介入(患者が望む治療、療養先、大切にしていること、急変時方針)、退院時の在宅支援者との看護情報提供書による情報共有(ACP、在宅での問題点)について調査した。分析方法は記述統計をおこない非正規性の検定を行った。有意水準は5%未満とした。本調査は、A病院看護倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】分析対象者45名、平均年齢82.5±11.2歳、男性21名(46.7%)、初回心不全入院28名(62.2%)、AHA/ACCステージ分類C39名(86.7%)、介護保健認定者活20名(44.4%)、認知症ありの患者12名(26.7%)であった。活動前20名(44.5%)、活動後25名(55.5%)における比較では、入院日数(18.2±10.5日vs17.6±6.7日、P=0.730)、心不全総指導時間(31.5±5.6分vs31.6±6.3分、P=0.660)において有意な差はなかった。ACPの介入では、患者の希望する療養先では活動前4名(20.0%)、活動後14名(56.0%)へ増加し(P=0.017)、希望する治療では、活動前1名(5.0%)、活動後13名(52.0%)に有意な差(P=0.001)があった。急変時方針の確認では活動前3名(15%),活動後12名(48.0%)へ増加し(P=0.027)した。地域支援者とのACPに関する情報共有では活動前0名(0%)、活動後7名(28.0%)と有意な差があった(P=0.012)。看護情報提供書によるACPの情報提供は、活動前5名(25.0%)活動後13名(52.0%)と有意な差はなかった(P=0.077)。【考察】専従活動後、ACPへの介入や急変時方針の確認は増加していたが、心不全指導、看護情報提供書でのACPに関する情報提供では有意な差がなかった。心不全看護における指導の充実、意志決定支援の必要性と地域連携についての課題が示唆された。【実践の示唆】今後、専従看護師としての心不全指導に関するスタッフ教育の充実を図り、地域支援者へ情報提供する内容の均一化を図る必要がある。