第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター61群 心不全の人への支援

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:印東 真奈美

[ポスター61-4] 心不全患者の運動負荷による予後予測の検討

初回運動負荷とバイタルサインとの関連

上野 香菜子, 永井 絵理, 福田 江美 (東京都立墨東病院)

【背景】心不全患者は症状の増悪と寛解を繰り返すため、予後予測が困難であり、意思決定支援のタイミングが課題となっている。現在、心肺運動負荷試験(CPX:cardiopulmonary exercise testing 以下CPX)で測定された運動耐容能が、心不全患者の予後指標として有意性が高いとされている。しかしCPXを持たない施設もあり、またCPXがそぐわないフレイル・サルコペニア症例も増えている。運動負荷に対するバイタルサインの変動は、急性期での離床や早期リハビリテーションの場面で見受けられ、運動耐容能や心不全予後との相関関係があるのではないかと考えた。【目的】心不全患者に対する、初回の早期リハビリテーション実施中のバイタルサインの変動が予後と関連するかを明らかにする。【実践内容・方法】主病名が心不全の診断で、CCUに入室した心不全クリニカルパス適応患者68名のうち、同意が得られた33名を研究対象とした。早期リハビリテーションは、集中治療医学会の早期リハビリテーションガイドラインに基づいて作成したプロトコルを、運動負荷試験として代用した。初回の早期リハビリテーション開始前の仰臥位時とヘッドアップ45度から端坐位になった直後の収縮期血圧、平均血圧、心拍数をそれぞれ記録した。端坐位直後の収縮期血圧、平均血圧、心拍数のいずれかが、仰臥位時より低下した患者を変動群、それ以外を非変動群とした。予後については、死亡または退院後6か月以内に再入院した患者を予後不良群、それ以外を非予後不良群とした。収縮期血圧の変動と予後、平均血圧の変動と予後、心拍数の変動と予後との関係についてχ二乗検定を行った。倫理的配慮は、A病院倫理委員会の承認を得た(承認番号04-083)。【結果】本研究の対象患者33名のうち予後不良群は9名だった。収縮期血圧で変動があったのは20名で、予後不良に該当した者は6名だった。平均血圧に変動があった者は14名で、予後不良に該当する者は6名だった。心拍数に変動があった者は10名で、予後不良に該当する者は5名だった。収縮期血圧、平均血圧、心拍数のいずれかが変動した者で、予後不良に該当した者の割合は、変動しなかった者のそれよりも割合が高かった。いずれも有意差は認められなかった。【考察】変動群では、心不全予後が不良となる傾向がみられたが、統計学的な有意差はなかった。症例を重ねることで有意差が出る可能性はあるが、本来CPXを行う状態より早期にリハビリテーションを実施していたことで、うっ血の残存、昇圧剤使用などのバイアスが多く、有意差に繋がらなかった可能性がある。【実践への示唆】うっ血の評価や昇圧剤使用の有無も評価に加えた上で、症例数を増やしていく。