第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター63群 新興感染症に対する取り組み

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:坂本 三智代

[ポスター63-3] 感染対策地域連携による変化と課題

体制整備と心理的側面への影響

磯見 英美 (公立羽咋病院)

【緒言】令和4年度の診療報酬改定で感染対策における地域連携が強化された。地域の中核病院であるA病院の取り組みによる連携施設の変化を確認することで連携効果と今後の課題を明らかにする。【目的】感染対策地域連携施設が行った取り組みや思いを明らかにし、地域の中核病院としてのA病院の取り組みを評価することで、今後の取り組みの一指針とする。【方法】1. 研究デザイン 質問紙調査2. 研究対象外来感染対策向上加算に係る連携に携わる施設(以下、外来連携施設)の感染対策責任者8名、感染対策向上加算に係る地域連携に携わる施設(以下、連携病院)の感染対策チーム16名3. A病院の取り組み外来連携施設:希望施設の院内ラウンドと感染対策指導、毎月の内服抗菌薬使用と手指衛生実施状況の確認と助言連携病院:院内ラウンド、感染相談対応、意見交換4. 調査内容外来連携施設:連携開始前後の取り組みに関すること連携病院:院内ラウンドや相談に関すること過去のカンファレンス記録も参考資料とする。5. 研究期間:202X年10月~202X年1月6. データの分析方法:単純集計および自由記載内容は類似した内容毎にまとめ、分析した7. 倫理的配慮:A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号168)【結果】1. 外来連携施設7名(87.5%)から回答を得た。感染対策マニュアルの更新ができていたのは1名であったが、更新の必要性は理解できていると7名が回答した。また院内研修の必要性も理解し、連携前と比較し2倍以上の施設が研修に取り組めていた。A施設から還元する資料は職員と内容を共有し職員指導の材料としていた。カンファレンスは「院内感染対策について正しく継続する意識づけになっている」「他院の状況も分かり参考になる」と回答した。2. 連携病院14名(87.5%)から回答を得た。カンファレンスは、抗菌薬適正使用、手指衛生、細菌検査に関して特に参考になり、抗菌薬適正使用に関する内容の充実や院内研修内容や参加率の情報交換の希望があった。院内ラウンドに関しては、一緒に確認することで自ら気づき、改善策を検討する機会となっていた。感染相談を利用した3名は「とても参考になった」と回答した。【考察】外来連携は開始後2年経過する。感染管理体制の整備に取り組み、情報交換を繰り返したことが、意識づけと感染対策の強化に繋がったと考える。連携病院は一緒に現場を確認し、気軽に相談できる時間を設けたことで対策検討へ繋げることができた。また、いつでも相談できる相手がいるということは、心理的サポートに繋がる。顔が見える機会を設け、交流したことは有効であった。【結論】感染対策地域連携は、互いの学びにもつながり感染対策向上の一助となる。また不安や迷いを感じながら実践している担当者の心理的サポートともなることが示唆された。今後は、より継続した効果についての検討が必要である。