[ポスター63-4] 感染症に対応する看護師への必要なサポート
支援体制の構築および確立を目指して
【緒言】 全国で新型コロナウイルス感染症の対応を理由に離職率が増加しており、離職を防ぐための看護師への必要なサポートを早期に確立する必要がある。 【目的】 A病院B病棟の看護師が離職なく仕事を継続出来た要因は何かを分析し、感染症看護に携わる看護師に必要な支援体制の構築および確立に繋げる。【方法】 対象:A病院B病棟で約2年間継続して感染症対応勤務していた看護師27名。 調査内容:研究者1名に対し面談対象者1名による半構造化インタビュー形式を実施。 分析方法:テキストデータを類似性に基づいて分析。テキストマイニングソフトウェアKHCoder3を用いて、言葉の特徴や傾向を量的に示す計量分析を行い、共起ネットワーク分析用いて、その言葉の繋がりや関係性を分析。 倫理的配慮:A大学医の倫理審査委員会で審査され、研究機関の長の許可を得た(承認番号3417)。 【結果】 病棟が変化し、一番始めに思った事についての質問の媒介中心は「看護」であり、「状態」「始め」「考える」「自身」「患者」と共起関係にあった。 病棟で働く上でのストレスについての質問の媒介中心は「病棟」であり、「自分」「感染」「スタッフ」「働く」「新型コロナウイルス」「看護」と共起関係にあった。 具体的なサポートや声掛け等の支援についての質問の媒介中心は「疾患」であり、「新型コロナウイルス」「安心」「持つ」「分かる」「多い」「病棟」「先輩」「処置」「ケア」「一緒」「大丈夫」と共起関係にあった。 感染症病棟で働く上でのモチベーション維持についての質問の媒介中心は「呼吸器内科」であり、「変わる」「経験」「疾患」「新型コロナウイルス」「感染」「面会」と共起関係にあった。 【考察】 看護師は、PPE着用による身体的負担、感染リスクによる不安、一般病棟との疾患や環境変化からのストレスを感じていたが、一類感染症受け入れ定期訓練の実施が、手技の確立と安心感に繋がった。隔離環境下ではコミュニケーションが不十分となるため、リーダー同士の連携とその体制作りが安心して働く上で重要となった。看護師同士の連携が強固となる事で、関係性も良好となった。一般病棟と同様の看護を患者に実践し、看護する喜びと達成感を実感する事がモチベーションの維持に繋がっていた。 【結論】 感染症看護を実践する看護師の離職を防ぐための必要なサポートは、日本赤十字社のサポートガイドにおけるこころの健康を維持するための4要素とほぼ一致していた。安心して働ける職場環境である事、こころの健康を維持、モチベーションを維持し続けられる環境作りが重要である。 本研究の限界として、対象者がA病院B病棟の看護師のみであったため、症例数が少なく結果の偏りがある事が予想される。大学病院の特殊性も関連していると考えられ、今後はより多くの病院、看護師を対象とする事で、より具体的なサポート内容が明確化していくと考えられる。