[ポスター64-6] 突然医療的ケアが必要になった児をもつ母親の心境の変化
~受傷から自宅退院レスパイト利用までに焦点をあてて~
【背景】病棟看護師として、母親の抱いている思いや気持ちを支援につなげていく【目的】突然の不慮の事故により救命救急後、医療的ケアが必要となった重症児の母親の思いと看護師の関わりを振り返る【実践内容・方法】研究対象:A病院小児科に入院した重症児Bの母親研究方法:半構成的面接法 データの分析方法:ナラティブ分析 データ収集方法:対象となる母に対して研究の目的を説明後、インタビューガイドをもとに研究対象者が語る自らの経験に着目しナラティブを読み解いていく。母の思いを自由に振り返り話をしてもらう。インタビューの際にはボイスレコーダーを使用し逐語録を作成する。倫理的配慮;本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。また研究参加の有無は自由意志とし、参加しない場合や途中で中止しても不利益を被ることはないことを説明した。【結果】1.<突然の受傷>助かるのかな、どうなっちゃうのかなっていう不安でいっぱいだった。2.<意識が戻らない我が子とのICUでの対面>2週間くらい毎日が山場で、なんて事が起きてしまったんだろうと思った。色々先生から説明してもらえて、気管切開とかも生きるために必要なんだと思った。3.<現実を受け止め自宅退院を決断>わからない事だらけではあったけど、家で近くにいたいって思う私の思いが大きかった。4.<自宅退院への不安>病院だと何かあれば先生とか看護師さんがすぐに来てくれるけど、家で自分でっていうのは不安で。5.<家族、同胞への思い>周りのことをやってもらうだけで、すごい助かる。兄弟として自分の弟だって思ってて欲しい。6.<自宅退院への準備>バギーに乗る練習とかアンビューの練習とか車に乗せたりして、自宅に帰るイメージができた。7.<レスパイトの必要性>体力面が一番きつくなってくる感じ。経済的には不安で仕事できるのかなって思う。8.<病棟スタッフとの関わり>たわいのない会話だったり、Bや私に話しかけてくれることが嬉しかった。気も紛れる落ち着く時間だった。【考察】健康に成長発達していたB児が突然の受傷により医療的ケアが必要となり、大きな不安と絶望感を母一人で抱えていた。医師からの詳しい説明が病状理解と現実を受け止める状況に繋がった。退院指導では、母が在宅での生活をイメージできるように介入した事は不安の軽減に繋がったと考える。またスタッフの言葉が家族にとって心の支えとなり、母と一緒に感情を共有することが重要である。医療ケアの負担の多い母の休息や、同胞と過ごす時間の確保、母の社会的自立、生活の質の向上のためにもレスパイトの利用は重要な役割を担っている。【実践への示唆】親がすべてを担うのではなく、母が心身ともに充電する時間を確保することは子どもにとって最良のケアに繋がると考える。ひとり親であっても地域社会で医療的ケア児を育てていける環境を作っていく事が今後の課題と考える。