[ポスター65-1] 地域包括ケア病棟におけるACPに対する学習会の評価
【緒言】日本の医療現場では,人生の最終段階の患者の意思決定について,主にDNAR取得として行われている。それに対し,ACP(アドバンスケアプランニング)とは厚生労働省が「人生の最終段階における医療・ケアのあり方として,医療・ケアを受ける本人が専門職の医療・介護従事者から本人による意思決定を基本としたうえで,人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である」としたガイドラインである。【目的】A病院では,令和元年10月より厚生労働省ガイドラインに則り緩和ケアチームが中心となりACPが導入された。しかし,令和2年度から令和4年度の3年間で実際にACPを確認症例は5件であったことから,ACPが浸透していないことが現状である。ACPが浸透していない原因について,入院患者に対するACPの確認状況やスタッフのACPに対する意識調査により,実態調査を実施した結果を報告する。【方法】地域包括ケア病棟に勤務する看護師23名に対してVASスケールを使用して,ACPに関するアンケート調査を実施。1回目のアンケート調査終了後,ACPに関する学習会を行い,2回目のアンケートを実施し,これらをt検定にて比較・分析した。本研究はA病院の倫理委員会の承認後,アンケート調査を実施しその回答をもって同意とみなした。【結果】「質問方法がわらない」「必要性を感じない」「どのように切り出したらいいかわからない」「どのような言葉をかけたらいいかわからない」「タイミングがわからない」「人の死に関わる事なので聞きにくい」という質問に必要性が有意に上昇した。有意差があった質問は,いずれも教育目標である60%以上を達成できなかった。【考察】高齢化の進展や人生観の多様化に伴ってACPの重要性は高まっているが,社会的認知や方法論の確立,具体的な支援ツールが発展途上である。本研究にて学習会を行い,ADCPについてのネガティブなイメージからの多少な変容はあったが,疾患名や重症度から聴取することを躊躇する傾向はあまり変わらない現状であると考えられる。A病棟でも有意差があった質問項目は教育目標を60%達成できていないことから,ADPに関する十分な理解が得られていないと考えられる。【結論】職員に対するACPガイドラインに則した学習会の継続と具体的なマニュアル作成が重要と考える。