第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター65群 意思決定支援③

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:塩田 美佐代

[ポスター65-5] アドバンスケアプランニングに関するA病院病棟看護師の意識調査

能井 千春1, 河原 誉1, 清水 瑞穂1, 坪田 恵子2, 沢田 敬子1 (1.不二越病院, 2.富山大学)

【緒言】アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)は将来的に人生の最終段階で受ける医療・ケアについて本人の意思を共有し話し合う過程である。先行研究ではACPに関する病院職員の意識と実践は未だ発展途上であり、よりよい緩和医療を提供するうえでも職員自身が知識理解や経験を深めていく必要性が明らかになっている。A病院ではACPの導入は行われていない。そこで、A病院病棟看護師の意思決定や終末期に対する考え方、ACPに関する認識度や関連した質問を行いACPにおける看護師の役割について認識を深め、臨床に活かすことができるようにしたいと考えた。【目的】A病院病棟看護師の意思決定や終末期に対する考え方、ACPの認識度を明らかにしACPにおける看護師の役割について認識を深め、臨床に活かすための基礎資料とする。【方法】202X年8月から10月の期間にA病院病棟看護師25名を対象に実態調査研究を行った。病棟看護師の意思決定や終末期に対する考え方、ACPに対する認識度や関連した質問を行った。A病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号45号)。【結果】性別は全て女性であり勤務年数15年以上ならびに年齢40代以上が88%であった。ACPの認知度は「知らない」「聞いたことがあるがよく知らない」が92%であった。自由記述の内容を分析した結果23のサブカテゴリーと5つのカテゴリーを抽出した。カテゴリーは《痛み・苦痛緩和に対する思い》《家族との最期の時間に対する思い》《意思決定支援に対する時期の見極め》《個別性に沿ったQOLへのサポート》《一般病棟での終末期ケアの限界とジレンマ》であった。【考察】看護師は適切な処置・ケアを行い患者の生きる意欲を引き出し、その人の意向に沿ったサポートを継続して行うことが重要である。少しの時間でも患者のそばに行き身体に触れ、話を聞くことで、悔いのない看護につながると考えられる。ケアなどを通して患者のそばにいる時間が多い看護師だからこそ、普段の何気ない会話の中から患者の思いを受け止め、その思いを患者家族・医療チームで共有しその人にとって最良の時間を過ごせるようにしていくことがACPにおいての看護師の役割と考える。自分自身の為、また、家族や周囲の人の為にも意思決定能力があるうちに事前指示書やエンディングノートを作成しておくこと、そして何よりも話し合いの機会を持つことが自分らしい人生を送る手段の一つになると考える。【結論】まずは看護師自身がACPのプロセスについて十分理解を深めるための研修会を通し、導入に向け取り組んでいく必要がある。終末期になってからACPを検討するのではなく、適切なタイミングを逃さないことが重要である。また、ACPを進める上で患者自身のQOLを考慮したコミュニケーションを図り、思いを引き出せるような関係性を構築していくことが看護師に求められる役割である。