[ポスター65-4] 看護師のACPに対する意識調査
ACPに基づく情報収集ツールの導入前後の意識変化
【背景】A病棟:一般障害者病棟50床脳卒中・神経難病・誤嚥性肺炎後の廃用症候群により寝たきり・意思疎通困難な患者が多い。患者の意思が確認できなくなる前に本人の意思を確認し、家族で話し合っているケースは少ない。そのため患者・家族ともに今後の療養生活の中での最善の生活や治療を決断することが難しい。看護師は入院中に患者自身の背景や希望についての情報収集が不十分であり看護ケアに活かすことが困難なためジレンマを抱えている。情報収集ツール(以下ツール)を作成・導入することで看護師のACPに対する意識が変化するかを明らかにする。【目的】ACPに基づくツール(患者のこれまでの人生・患者と家族の希望を確認するもの)を作成し、患者・家族・看護師が今後の生活の最善を考えるきっかけとなる。患者家族・看護師の心理的負担の軽減を期待する。【実践内容・方法】①対象:A病棟の看護師19名患者家族4家族②研究期間:令和X年1月~3月③調査方法:1) 看護師にツール導入前後でアンケートの実施①患者の最善を考えてケアができているか②情報収集の時間はあるか③最善のケアが出来ないことでジレンマを感じるか2)患者家族にツールを用いて面談 3)病棟カンファレンス④分析方法:ツール導入前後のアンケートを比較し単純集計した⑤倫理的配慮:対象の看護師・患者・家族に説明、同意を得て、個人が特定されないようプライバシーを守る。本研究を辞退しても不利益を生じないことを説明する。本研究はA病院倫理委員会にて承認を得た(2024-1)。【結果】回収率:導入前89%導入後74%①(0:できていない10:できている)介入前平均5.4介入後平均6.0②(0:全くない10:十分にある)介入前平均4.2介入後平均4.5③(0:全く感じない10:とても感じる)介入前平均7.8介入後平均7.9【考察】患者の最善について考えてはいるが、現状に満足できていない。患者の意思疎通困難、面会制限により患者・家族と話す時間を確保できず、情報収集の時間が不足している。研究期間が短く導入前後の平均値は大きな変化が見られなかった。アンケート結果には反映されなかったが、得た情報を元にカンファレンスを行い、患者・家族の希望に沿って外出の調整・物品の管理・嗜好品の摂取などの看護ケアを提供できた。家族から看護師へ普段聞きにくいことを聞けた、患者の希望を叶えることが出来たという前向きな意見が多かった。【実践への示唆】長期入院の患者について始めて知ることが多く、看護師間で意見交換を行うことができた。今後もツールを使って看護を展開することで、家族を含めた個別性のある最善のケアを実践できると考える。行った看護を評価することでジレンマは減少し、今後の看護ケアの自信や意欲につながる可能性がある。そのために病棟でACP担当者を決めて患者・家族との話し合いを繰り返す必要がある。