[ポスター65-6] 看護師のACPに対する意識調査の考察
退院支援の視点を持つための取り組み
【背景】 「令和4年度最終段階における医療・ケアに関する意識調査(厚労省)」ではACPについて「よく知っている」と答えた看護師は45.8%である。退院支援介入時ACPが重要となるが、A病院では統一されたACPの介入方法は決められていない。 A病院では退院支援を退院支援看護師とMSWが行っている。患者の意向に沿った退院支援を行うためには、患者に日々接している看護師もACPを意識した関わりが必要である。今回看護師を対象としたACP勉強会を開催し、実施後アンケート調査を行った。その結果、A病院の今後の課題が明らかになったため報告する。【目的】 「ACPについて知識・理解を深め、退院支援の視点を持つことができる」ことを目標としたACPの勉強会を実施した。実施後アンケートを行い、看護師のACPについての意識調査を行った。A病院の看護師がACPを意識した関わりをするために、今後どのような取り組みが必要かを把握する。【実践内容・方法】 看護師対象に、退院支援の症例を用いたACPの勉強会を3シリーズに分けて(同じ内容を2回ずつ)計6回開催できるよう企画した。① ACPを知ろう: ACPについての講義、もしバナゲーム② ACPを体験しよう: 事例を用いて退院前カンファレンスの場面をロールプレイ③ 意思決定支援をしよう: 「看護倫理小西の4Step」を使用し事例検討・グループワーク勉強会実施後、参加の有無にかかわらず看護師対象にアンケートを行った。 ACP勉強会後のアンケートへの参加は自由意思によるものとし、アンケートの返送をもって同意を得た。またアンケートの記載は無記名とした。【結果】 ACP勉強会の参加者は、1回目58名、2回32名、3回目25名、延べ115名であった。実施後アンケートは86名の返答を得た。「ACPを学ぶ機会が必要だと思う」98.8%、「ACP勉強会が今後も開催されたら参加したい」95.2% であった。その他自由記載では「多職種も交えた研修を行いたい」「記録内容を多職種で共有したい」「多職種でACPを活用していきたい」と多職種での連携を重視する意見が複数あった。【考察】 アンケートの結果、看護師はACPへの関心が高く知識習得の意欲も高い。しかし看護師だけで汲み取ることができる患者の意向は一部であり、ACPを行うには十分と言えない。変化する患者の思いを看護師だけで拾い集めることは困難である。多職種連携が必要であることは周知の事実であるが、勉強会を行うことで多職種連携を強めチームで関わる必要性の再認識ができた。 患者の意向に沿った退院支援を行うためには、患者が発する言葉を多職種で拾い集め、チームとなって関わる必要がある。【実践への示唆】 今後のA病院の課題として、退院支援の視点がどの職種でも持てるように多職種で参加できるACP勉強会を継続的に取り組む必要がある。また、多職種でACPに取り組めるシステムやACPが共有できるツールが整備できるよう働きかける。