第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター66群 対象と向き合う看護職の意識③

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:野口 香

[ポスター66-1] 高齢患者と関わる若手看護師の思考と行動

認知機能障害を疑う白内障手術患者を通して

大嶋 真朋, 馬場 聖弥, 原田 恵菜, 倉科 朱里 (富山赤十字病院)

【緒言】先行研究では認知機能障害を疑う高齢者の白内障日帰り手術に関わる包括的な臨床判断ができる経験年数5年目以上の看護師の臨床判断について明らかにされている。A病院では若手看護師が周術期に関わる機会が多く、質の高い白内障手術看護を提供する一助とするため本研究に取り組んだ。【目的】認知機能障害を疑う高齢白内障手術患者と関わる若手看護の思考と行動を明らかにする。【方法】質的記述的研究で独自に作成したインタビューガイドを用いてインタビューを実施し、逐語録からコード化した内容を比較しカテゴリー化した。研究期間は202X年X月~2か月。研究参加は自由意思であり、参加に同意しない場合でも不利益を生じないこと、インタビューは中断が可能であることを説明した。インタビュー内容については秘密を遵守し、プライバシーに配慮した。研究施設の看護部倫理委員会の承認を得た(承認番号:第23-6番)。【結果】参加者4名の平均経験年数は3.25年であった。分析の結果、[有用な情報を得る][何かおかしいと直感的に気づく][認知機能低下の程度の判断に戸惑う][必ず報告・連絡・相談する][怪しいと感じる情報の共有][絶対に転ばせたくない][転倒しないように対策する][抑制はしたくない][経験を活かして指導する][確実な点眼管理の方法を考える][手術して終わりじゃない][感染管理ができるよう支援する][上手くいかなかった経験を活かしたい]の13個のカテゴリー、36個のサブカテゴリー、64個のコードが抽出された。【考察】認知機能障害を疑う高齢白内障手術患者と関わる若手看護師は、[手術して終わりじゃない]という思いを根底に持ち[有用な情報を得る]なかで[何かおかしいと直感的に気づく]が、[認知機能低下の程度の判断に戸惑う]ため[怪しいと感じる情報の共有]をし、[必ず報告・連絡・相談する]という行動をしていた。[絶対に転ばせたくない]と思う一方で[抑制はしたくない]という思いがあり[転倒しないように対策]している。退院指導では[確実な点眼管理の方法を考え]、[感染管理ができるように支援する]ために[経験を活かして指導]している。自身の看護を振り返り[上手くいかなかった経験を活かしたい]と考えていた。先行研究では、認知機能障害を疑う行動や反応に対応が必要か否かを判断していた。本研究では気づきの視点は多くあるが、認知機能低下の程度の判断に戸惑い、経験豊かな看護師に必ず相談しその助言をもとに行動しており、自身の判断に基づく行動は少なかった。【結論】若手看護師は、有用な情報を得るなかで何かおかしいという直感的な気づきを大切にし、必ず報告・連絡・相談している。手術をして終わりではないと思い、転倒対策や退院指導を行っている。自身の看護を振り返り、上手くいかなかった経験を活かしたいと考えている。