[ポスター67-1] 患者さんを守り支えるのが外来看護師の役割
【背景】A病院は、紹介受診重点医療機関である。外来の機能分化により外来看護師は、より専門性の高い看護外来の提供や充実した在宅療養支援が求められる。しかし、外来看護は短時間に多くの業務が集中するため、「多忙な外来では無理」「何をしたらよいのか分からない」など困難さの理由と不安の声が強かった。【目的】外来看護師としての役割を認識して看護の専門性を活かす取り組みにつなげる。【倫理的配慮】対象には、個人が特定されないよう情報管理を行うとともに、口頭で説明し同意を得た。なお、所属施設倫理審査員会の承認(C230501-1)を得た。【実践内容・方法】1.在宅療養支援に関する研修前後アンケート(4件法)、外来師長と成果指標の確認、2.オンデマンド研修「外来における在宅支援能力向上のための研修」プログラム実施。オンデマンド研修については5章200分と長時間のため、会議室を視聴専用にして各科外来毎にいつでも、どこからでも受講できるように調整した。講義は、県の特徴だけでなくA病院の特徴や役割を病院年報のデータを基に作成し、より実感を持ってもらえるように工夫した。演習では、研修前アンケートから抽出した在宅療養支援に関するキーワード「気づく」「考える」「対応する・評価する」で各科外来のまとまりで事例検討、発表してもらった。【結果】研修参加希望者は16名(自主的参加率54.5%)、研修修了者は15名だった。研修前アンケートでは、現在の在宅療養支援への取り組み3.0であり、取り組みたくてもできない状況を「多忙」「何をしたらよいか分からない」と理由付けしていた。研修後アンケートでは、今後も在宅療養支援へ取り組みたい3.7と有意(t=-4.7,P=0.00)に取り組みに関して上昇した。その理由として、「できることを日々の業務に取り入れたい」「まずは気づくこと、気づいたことを支援できるように行動したい」「チーム全体で取り組みたい」「自分にできることを明確にして、そこから仲間を増やしたい」と意欲的な表現だった。また、研修後には研修前の漠然とした不安の声はなく、「たくさんの気づきをそのままにしないで記録に残してつなげる」「患者さんを守り支えるのが外来看護師の役割」などの前向きな感想コメントがあった。【考察】外来における在宅療養支援能力向上研修参加者の気づきは、期待以上だった。受診する患者さんの在宅療養を、安全・安心なものにするため何に気づき、どう支援し、地域にどうつなげていくかを外来看護師間で真摯に考え、外来看護の役割を再認識する機会となった研修だった。【実践への示唆】外来師長と検討した本研修の指標は「外来看護師の記録が増える」「在宅療養指導料の算定が増える」である。人口減少・生産人口減少時代を迎え、外来看護を取り巻く環境はまだまだ変化していく。研修を成果あるものとなるよう、今後は外来で行う在宅療養支援に取り組む環境を整えたい。