[ポスター67-6] 当院における骨粗鬆症の治療継続の実態調査
【緒言】当院は整形外科単科の施設で骨粗鬆症注射製剤投与患者は17%程度であるが、内服薬に比べ治療の途中中断がしばしば見受けられる。一方で慢性疾患の関節リウマチ(以下RA)患者の治療継続は維持出来ている傾向にあるため、治療中断の要因に何らかの関係があるのではないかと考え実態調査を行なった。【目的】骨粗鬆症注射製剤治療継続に関わる要因を明らかにし、外来看護に活かす【方法】201X年3月1日~202X年3月31日(5年間)の注射製剤8種の処方歴から処方患者数、継続中断者数、中断理由、副作用の内容について調査(投与回数規定製剤は回数終了で継続とした)RA既存患者との比較にはχ二乗検定を行なった。また、薬剤費用負担額と継続率の関係についてはテリパラチドの週1回と週2回製剤を比較し調査。倫理的配慮:A病院の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号23-7)【結果】①10代~100代の670名。5年間の製剤別(8種)継続451名。中断219名。副作用出現後も67%は他剤変更等で治療は継続。中断理由不明は58名。デノスマブ、ロモソズマブ、1日1回テリパラチド(フォルテオ)の順で処方が多く副作用中断はロモソズマブ14件、週2回テリパラチド12件、週1回テリパラチド10件、デノスマブ7件。副作用は週1回テリパラチドの消化器症状8件、ロモソズマブの口腔症状5件と頭痛・眩暈5件、週2回テリパラチドの体調不良5件。②RAとデノスマブの継続率の関連性はP=0.00と統計学的に有意であり、ロモソズマブではP=0.267と有意差はない。③週1回テリパラチドは負担額が0でも19%、1割で12%、週2回テリパラチドは負担額が0でも6%、1割で44%が中断と負担額が低額でも中断していた。【考察】A病院では骨折後はテリパラチドを第一選択し、デノスマブへ移行の傾向がある。デノスマブは逐次療法として選択され多い。副作用が多い薬剤は中断が多いが、副作用出現後も67%は他剤へ変更等で何らかの治療を継続していた。自己注射・通院投与に関わらず、テリパラチド製剤・骨形成製剤の中断が多かった。薬剤副作用だけでなく、中断理由不明には金銭負担や通院負担も示唆された。【結論】・RAの骨粗鬆症治療中断率は薬剤によって差がある。・骨形成促進剤の中断率が多い。・テリパラチドの中断率は負担額・通院頻度・投与方法に関わらず多い。先行研究であるように、治療導入時から継続の必要性を繰り返し説明する。患者の理解度を定期的に確認し、周りを巻き込んだ指導が重要である。