第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター68群 特定行為に係る看護師の実践②

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:富阪 幸子

[ポスター68-1] 特定行為研修における教育カリキュラムの構築

研修生評価に基づく難易度に応じた順序性の検討

鷹野 郁与 (聖マリアンナ医科大学病院)

【背景】看護師特定行為研修は省令に基づき科目の時間数および研修方法が指定されている。また、効果的な学習となるよう学習の順序性を考慮するよう明示もされている。しかし妥当な時間数、難易度に応じた順序性については研修機関独自の判断に委ねられている。(2020,特定行為に関する省令)そこでA研修センター(21区分38行為)では毎年研修生に対して授業評価を行い、効果的な学習となるよう難易度に応じた順序性および学習方法について検討を行っている。今回はその実践内容の一部を報告する。【目的】特定行為を効果的に学ぶための区分別科目における難易度に応じた順序性について明らかにする。【実践内容・方法】1. 対象者:研修生6名。2.期間:202X年~202Y年。3. 評価項目:①開催時期②演習・実習時間③演習・実習内容⑤指導者の説明・指導内容⑥目標達成度⑦意見・感想等自由記述。4.実施方法:行為の演習・実習終了毎に電子媒体による無記名自記式質問紙を用いて行った。5.実施にあたり、個人・施設の匿名性に配慮し学術集会で症例報告として発表することを説明し同意を得た。【結果】202X年度3名の研修生の開催時期の評価では「行為17中心静脈カテーテルの抜去の時期は挿入から抜去の順のほうが危険性を考えられるため行為18PICCの後のほうが良い。また縫合を学んだ後がよい」という意見があった。この結果を基に202Y年度はPICC挿入の後に中心静脈カテーテルの抜去の順に変更した。2023年度3名の研修生評価では、「行為8一時的ペースメーカーリードの抜去および行為17中心静脈カテーテルの抜去は心嚢・腹腔ドレーン抜去で縫合を学んだ後の方が自分で縫合して抜去する過程を学べる」との評価であった。この結果を基に2024年度は「創部ドレーン」「腹部ドレーン」「心嚢ドレーン」「胸腔ドレーン」の順番とする。またドレーン抜去に係る行為の演習の前に「縫合・結紮」の手技を新規に組む予定である。さらに、行為17は「行為18:PICCの挿入」や「縫合・結紮」の後の実施とし、手技の危険性の判断ができる効果的な学習となるような順序性とする。【考察】「ドレーン管理関連」ではドレーンの挿入されている場所によってその難易度は異なる。安全な特定行為を行うためにはドレーン抜去に伴うリスクとともに、挿入された手順や手技も考慮したうえでの知識・技能が求められる。開講年度より授業評価を継続的に実施し、年度毎に見直しを行ってきた事、また単純から複雑なもの・既知のものから未知のものへと教育の原則を基に順序性を検討してきた結果、年々難易度に応じた順序性になってきたと考える。【実践への示唆】特定行為の教育内容をより効果的な学習となるよう学習の順序性を検討していくには指定研修機関・学習者・指導者の3者での検討が重要であると考える。今後は指導者からの評価も取り入れながら特定行為の教育カリキュラムを構築していきたい。