第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター68群 特定行為に係る看護師の実践②

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:富阪 幸子

[ポスター68-2] 慢性期病院における看護師特定行為研修の現状と課題

佐藤 京子 (札幌西円山病院)

【背景】A病院では,2023年より看護師特定行為活動支援室(以下,支援室)を新設した.A病院における活動を振り返り,1年間の実践を報告する.【目的】支援室による活動実態と今後に向けた課題を明らかにする.【実践内容・方法】A病院では特定行為看護師(以下,特定看護師)の希望者が少なく,原因を明らかにするためにロジックツリー分析を行った.その結果,①特定看護師の活動ビジョンが不透明,②院内における周知不足が上げられた.①活動ビジョンついては支援室で検討を重ね,ビジョン,働き方,教育計画を明文化し内容について院内全体に働きかけた.特定看護師は各病棟1名配置することを目標とし,現在の特定看護師3名は,部署固定型1名,組織横断型1名,混合型1名の配置で活動を開始した.教育計画に関して,更新制度を持たない特定看護師は継続した学びが必要と考え特定行為ゼミナール(以下,特定ゼミ)を開設した.内容は修了生が1回/月集まり,医師による講義,手順書作成,実践した特定行為を討議する場とした.②周知不足に関して,病棟から「特定行為の全容が見えない」「流れがわからない」等の意見があった.そこで,看護師特定行為研修プログラム(以下,研修プログラム)を作成に取り掛かり,院内向けポスターと動画で啓蒙活動に努めた.加えて,特定行為に関し現場からの反応や意見を聞き支援室で共有した.なお,対象者となる職員の個人や部署が特定されないよう配慮した.【結果】活動の結果(202X/5-202Y/1),特定看護師3名は活動を継続でき,次の特定看護師として202X年度1名,202Y年度は新たに2名の希望があった.特定ゼミでは,指導医による講義を受け,実践での疑問について話合い意見交換をすることができた.研修プログラムは,研修目的,役割分担,評価方法,手順書6行為,マニュアル4行為等を収め完成した.現場からは「医師の働き方改革だけど実習指導が逆に業務を圧迫している」との意見があった.【考察】 特定行為の基盤となる学習環境を組織に働きかけたことで医師,特定看護師,研修生がお互いに学び合う体制が構築でき,A病院独自の手順書を使用した活動,ポスターや動画により認知され,その活躍する姿がスタッフへの動機づけとなり次の特定看護師希望者へ繋がったと考える.一方,研修生が増えると実習指導にかかる時間も増加する.実習指導では、カンファレンスを含め1症例あたり30-45分要していた.加えて,A病院では褥瘡関連が2行為あることで指導医の偏りが生じ,これらが医師の業務圧迫に繋がったと考える.【実践への示唆】特定看護師研修生が増えると指導医の業務を圧迫しかねないことから,指導医の負担に配慮した実習環境の改善が示唆された.