[ポスター68-6] 特定看護師による末梢留置型中心静脈カテーテル挿入の現状と分析
~PICCチーム活動と特定看護師が行う意義の検討~
【背景】A病院では202W年から特定行為研修が開講し、202X年4月から研修を修了した末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入について、特定看護師と指導医でチームを構成し活動を開始した。患者は輸液療法において、血管外漏出による疼痛や腫脹、静脈炎に伴う苦痛を生じていることが散見される。また血管確保をおこなう看護師にも業務、及び精神的な負担が生じている。PICCチームの活動を振り返ることで、PICC挿入が患者、看護師へもたらす効果を検討する機会とする。【目的】202X年4月からPICCチームの活動を開始し、特定看護師が行ったPICC挿入に関するデータを収集し分析することで、PICCチームとしての活動やPICC挿入に関する課題を明らかにする。【実践内容・方法】特定行為研修修了後202X年4月~202Y年12月までのPICC挿入担当者がPICC挿入に関する患者の属性、該当科、挿入目的、部位、挿入時間についてデータを収集した。A病院の倫理委員会の承認を得た(承認番号 2023019)。また、患者が特定されないよう配慮した。 【結果】PICC挿入の依頼件数は337件、病状範囲外や挿入困難による撤退症例が32件あった。各科別では外科103件 血液内科44件 脳神経外科34件 循環器内科30件 呼吸器内科28件 など全科から依頼があった。患者の男女の割合は男性57%女性43%、年齢は80歳台131件(39.2%)70歳台(30.2%)60歳台(13.7%)90歳台(9%)と70歳以上の PICC挿入は262件(78.4%)であった。血管選択は右尺側皮静脈192件、右上腕静脈113件であった。挿入目的として末梢確保困難や長期抗菌薬投与や輸液管理は179件 高カロリー輸液投与は120件 化学療法35件であった。挿入時間は、15分毎の時間計測を行い202X年4月~12月は15~30分が多く 、202Y年1月~12月は15分以内の挿入が多くなった。【考察】A病院のPICC挿入患者は高齢者が多く、輸液管理による治療目的が多い。末梢静脈留置カテーテル(PVC)による輸液の血管外漏出や頻回なPVC確保は、患者の苦痛が強いと考えられる。化学療法の血管外漏出の合併症は、患者や看護師の負担も大きい。輸液治療の穿刺部位・デバイス選択とカテーテル管理ガイドラインは、「末梢静脈の確保が困難な患者では、静脈注射の必要性を再度評価し、PICCなどの使用を検討する」と記載されている。PICCは挿入時に患者への身体的、時間的負担はいくらか生じるが、血管外漏出のリスク軽減、度々の血管確保に伴う負担を超える効果が得られると考えられる。看護師にとっても業務負担の軽減に繋がることが期待できる。苦痛の軽減を図るには更なる挿入時間の短縮が求められる。特定看護師がPICC挿入という医行為を行うことの意義は、患者の苦痛をアセスメントし対応することにある。【実践への示唆】今後も特定行為を通して、苦痛を緩和し患者の療養生活の支援となるように看護を繋げていきたい。