第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター68群 特定行為に係る看護師の実践②

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:富阪 幸子

[ポスター68-5] 特定行為看護師の活動実績の評価と育成計画の検討

大澤 弘子, 大海 佳子, 福田 順子, 小室 るみ, 谷島 雅子, 阿久津 美代 (自治医科大学附属病院)

【背景】特定行為看護師は、患者の状態をアセスメントし迅速で専門性の高い的確な介入が期待される。A病院は高度急性期病院で202X年度より活動が本格化し組織横断的活動や自部署内活動を実践している。【目的】特定行為活動実績件数の推移やタスクシフトの現状を分析し高度急性期の現場における特定行為看護師の今後の育成計画の指標を検討する。【実践内容・方法】202X年4月~202X年12月の特定行為活動実践件数データを用いて、特定行為別活動実践件数の年次推移及びタスクシフトの現状から分析を行う。倫理的配慮は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。(臨大23-079)【結果】202X年4月~202X年12月の特定行為実践件数は1459件、2692件、3229件、3087件と推移した。実践可能な特定行為は32行為で、呼吸器関連(人工呼吸療法に係わるもの)関連、気管カニューレ交換、中心静脈カテーテル(以下CVC)抜去、直接動脈穿刺法による採血、末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(以下PICC)挿入の実践件数が全実践件数の64.7%を占め、年々増加している。院内全体のCVC抜去件数の39%、気管カニューレ交換は70%、PICC挿入は37%を特定行為看護師が実施している。自部署内活動での気管カニューレ交換の定期交換以外の理由は16.6%がカニューレの閉塞による緊急対応で、直接動脈穿刺法による採血では40.6%が患者の状態評価や採血困難者の血液培養である。A病院でニーズの高い特定行為は、呼吸器関連(人工呼吸療法に係わるもの)関連、気管カニューレ交換、CVC抜去、直接動脈穿刺法による採血、PICC挿入である。【考察】高度急性期医療の現場では、患者の重症度や高度侵襲の治療環境の特徴から呼吸と循環に関連する行為のニーズが高い。特に、安全性が高く感染予防の面からPICC挿入は、確実な薬剤投与が必要な重症患者が多いA病院では、今後も高いニーズで経過すると推測する。人工呼吸関連では、長期間の人工呼吸管理が必要となった患者の回復過程を見極めた介入が求められ一般病棟での介入では看護師に教育を行いながら、離脱に向けた継続性のある介入が必要であり、A病院の患者の特徴から依頼は増加していくと予測され、組織横断的活動が適していると考える。 自部署内で活躍する特定行為は、実践に至る理由からCVC抜去や直接動脈穿刺法による採血や気管カニューレ交換であり、安全や質保証にも関わる。今後は組織横断的活動者と自部署内活動者のバランスを図りながらの育成が求められる。 【実践への示唆】新型コロナウイルス感染症の感染拡大時に急増した集中治療を要する患者に対応するため、特定行為看護師の確保が求められたように、日々医療現場は変化している。また医師の働き方改革推進によるタスクシフトといった、政策と組織の現状を把握し今後を予測しながら、高度急性期の現場で求められる特定行為看護師のあり方の検討と育成を図っていくことが重要である。