[ポスター68-4] 特定行為修了生が実践する困難さ
~活動における困難とその対策~
【背景】A病院は救急告示病院に指定された急性期病院であり、透析センターにおいても救急患者の透析対応を行っている。A病院が2018年に特定行為指定研修機関として認定されたことを機に、より質の高い看護を提供したいと思いこの研修を受講した。動脈血液ガス分析関連・栄養に係るカテーテル管理関連・血液透析管理関連を修了し、その後、通常業務(透析業務)と特定行為業務を並行して行うなかで感じた困難さと今後の課題を明らかにする。【目的】通常業務と特定行為業務を並行して行う現状を明らかにし、その中で感じた困難さと今後の課題を報告する【実践内容・方法】①通常業務と並行して行う現状202X年に動脈血液ガス分析関連を取得し、院内では3名しか取得していなかった。院内携帯を持ち、当番制で特定行為の対応を行っていた。取得当初は依頼件数も少なかった。そのため、透析業務中に依頼があれば、一旦、業務を中断し部署長やスタッフへ申し送り、担当患者の引継ぎを行い、特定行為の対応をしていた。対応する患者の情報収集に時間がかかっていた。また、経験も少ないため、行為にも時間がかかり、記録にも時間を要していた。しかし、自部署では、医師が1名しかいない中、特定行為を取得したことでタイムリーに対応できた。②通常業務と並行して行う困難さ透析業務は治療開始時や終了時は患者から離れることは困難である。他部署からの依頼について、当番の日は、直接依頼を受け、時間調整をしていたが、通常業務をしながら時間調整をすることは難しい現状があった。依頼をうける電話対応だけでも時間を要することは通常業務に支障をきたしていた。院内でも特定行為の認知度が低く、依頼件数も少ない中で、対応ができないと伝えることも苦痛であった。また、透析業務で欠員があった場合は、依頼があっても現場を離れることが困難であった。【結果】通常業務と特定行為業務を並行しながら、3年間で①動脈血液ガス分析関連:直接動脈穿刺法による採血:152件・橈骨動脈ラインの確保:50件、②栄養に係るカテーテル管理関連:13件、③血液透析管理関連:2件の活動ができた。【考察】通常業務と特定行為業務を並行して行うことは、現状のままでは困難さを要すると考える。特定行為をスムーズに実施するために、時間調整や、対応できる時間を他部署へ明確に連絡しておくことも必要である。また、時間調整のみならず、対応する特定行為看護師の人数が増加することで、一人で抱え込まず、対応を依頼しあえるようになると考える。そのため、人材育成にも力を入れ、必要な特定行為がタイムリーに実施できる環境を作っていくことが必要である。また、組織全体で修了生を支援していくことが課題である。【実践への示唆】特定行為研修修了生が実践する困難さを軽減するため、人材育成と組織の体制づくりが必要であることが示唆された。