[ポスター7-1] 在宅支援研修が外来看護師にあたえた影響
~看護師の質向上に向けた取り組み~
【緒言】外来患者の半数が在宅療養に不安や困難があるとされ、外来で在宅療養生活に視点をおいた支援を行うことは再入院の減少や患者満足度の向上に効果があることが示されている。(前田ら2019)しかし、A病院外来スタッフからは「在宅支援がよくわかっていない」といった意見が聞かれ知識不足であることが問題として挙げられた。そこで日本看護協会主催「外来における在宅療養支援能力向上のための研修プログラム」(以下在宅支援研修)へ参加し質向上への取り組みを行った。【目的】在宅支援研修へ参加することで外来看護師へどのような影響があったかを調査し今後の人材育成やの質向上に向け示唆を得ることを目的とした。【方法】在宅支援研修へ参加したA病院外来看護師42名に対し独自に作成した質問紙調査を行った。質問内容はA病院外来ラダー能力評価項目に沿い、思考や行動の変化に関する5段階の順位尺度(変化なし:1点、大いに変化あり:5点)で回答を得た。自由記載内容は質的に分析しコード化、意味内容の類似性に従って帰納的に分類した。本研究はA病院倫理審査委員会での承認後、自由意思での参加、個人情報保護等を文書と口頭で説明し質問紙提出を持って調査協力の同意とした。【結果】変化が大きかった項目は「他職種と協働する力」が3.9点、「スキル獲得のための学習」「複数部署の経験」が3.7点、「個別性を踏まえたケア」が3.6点であった。自由記載内容からは223コード、26サブカテゴリー(<>で示す)から≪自己効力感の高まり≫≪役割・課題の自覚≫≪学習環境提供の希望≫≪実践ができない≫≪リーダー、指導者側の問題≫≪他職種との協働と依存≫≪良好な信頼関係≫の7カテゴリーが抽出された。【考察】研修参加は、外来看護師が行う在宅療養支援に対し<意識・意欲の向上>から<知識や業務の拡大>ができ、≪自己効力感の高まり≫や≪役割・課題の自覚≫につながったと考える。研修参加は肯定的な影響を外来看護師に与え、今後も成長につながることが期待されるため、継続した動機づけと学習体制の構築が必要であると考える。一方で≪実践ができない≫と感じる理由には<時間やタイミングの問題><業務の不公平さ><業務中断となりできない>ことがあった。業務補完の采配ができるリーダーの育成や患者等から話を聞く場所と時間を確保する業務整理が必要であると考える。更に、<頭では分かっていてもできない>や<実践への不安・不満>があり未経験業務を強いられているといった戸惑う気持ちが推察された。そのため寄り添い一緒に考える指導者の育成や安心して相談し合える≪良好な信頼関係≫作りが必要であると考える。【結論】外来看護師の質向上のため学習環境の提供と動機づけは重要であった。在宅支援の実践にはリーダーや指導者の育成と業務の一部となるシステム作りが課題である。