第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター7群 看護の質向上のための取り組み①

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:杉本 環

[ポスター7-2] 心不全患者に対する療養行動支援の実際

在宅移行期の専門的介入

池田 妙子 (福山循環器病院)

【背景】心不全患者の1年以内の再入院率は3割前後で、退院後1か月以内において高率を示す。退院後の患者は各々の生活ペースに戻るが、生命維持と身体回復のために集中的治療が施されていた療養環境の違いにより、在宅移行期には心不全増悪を起こしやすい。【目的】急性期を脱した心不全患者は、症状が改善したことに安堵し退院を待つ。一方、看護師は循環器病棟特有の業務が煩雑になり、腰を据えた療養行動指導になりにくく、さらに退院当日は、患者側にも時間制約がある中での指導となっていまい、結果、病状や管理について十分に理解できないまま、自宅で暮らす患者も少なくない。患者が在宅療養を一日でも長く継続できるように、慢性心不全看護認定看護師として、入院中から外来通院において専門的介入を行っている。今回は在宅移行期の実践内容について報告する。【実践内容・方法】主治医より介入依頼があった患者に対して退院後5日以内に電話訪問し、症状や困りごとを聴きながら療養相談を行い、病状悪化を捉えて早期受診に繋げている。主治医との相談を密に行いながら、外来では4つのタイミングで介入を行う。まず、診察前に心不全手帳を確認し、症状や生活習慣、療養行動について確認する。診察室では、同席により患者や家族の声を代弁し、診察後は、反応や理解に合わせて補足説明や助言を行う。さらに心不全治療薬を変更した患者には、5日以内に電話訪問し症状を確認する。倫理的配慮として、A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た。(承認番号103)【結果】退院直後の電話訪問では、状態に合わせて支持した声掛けや助言を行うことで、安心して療養行動を継続できたという声が多く聞かれた。また、専門的介入前の心不全外来と比べ、心不全手帳を記入し100%持参できていた。診察前面談では、話しやすい環境を作ることで患者の状況や考えを細かく把握でき、必要に応じて検査が追加され、自覚症状を汲み取った治療に繋げた。薬の調整後の電話訪問では、退院直後と同様に不安や疑問を解決し、かかりつけ医へ移行することができた。202X年4月より10カ月間の介入患者は121名であり、うち3名が在宅移行期における再入院に至った。【考察】特に初回心不全患者は、入院前の生活を変えることに抵抗を感じたまま退院し、多くは指導内容を遵守しながらもギャップを強く感じ緊張感を持って生活を始めている。実際に経験する生活での困りごとが出ていたり、指導内容を理解できておらず不適切な行動をしている事例もある。そこで、患者や家族の受け止めと行動に合わせ、タイムリーなサポートを行うことで病気への理解が深まり、生活の再構築と再入院予防に対して寄与できたといえる。【実践への示唆】心不全患者が増加する中、心不全療養指導士や退院支援・外来看護師との協働プランを検討し、医療・看護の質の維持、向上を目指していきたい。