[ポスター7-3] 高齢者のドライスキン改善の効果的な保湿方法を探る
スキンテア予防の介入
【はじめに】A病棟では、入院時に保湿剤の持参を依頼し保湿剤の塗布を継続してきた。しかし、スキンテア件数は、202X年の12件から、翌年には26件と増加した現状がある。そこで保湿剤を塗布するだけでは保湿の効果が得られない可能性があると考えた。より効果的な保湿方法を明らかにすることで、スキンテアの減少に繋がるのではないかと考え本研究に取り組んだ。【目的】スキンテア要因の多い高齢者のドライスキン改善のための効果的な保湿方法を明らかにする。【方法】対象は清拭のみを実施している75歳以上の患者。1患者における調査期間は2週間とし、毎日15時スキンチェッカーを用いて上腕内側の皮膚水分量を測定した。保湿剤は入院時持参頻度の高い保湿剤を統一し使用。保湿方法は、1週目は10時15時に両上下肢に保湿剤を塗布し、2週目は10時15時に清拭を行い、15分以内に両上下肢に保湿剤を塗布した。データは単純集計しt検定にて比較した。【倫理的配慮】本研究はA病院看護研究倫理審査にて承認を受け実施した。対象者は個人が特定されないよう匿名化することと、学術集会で発表することを書面で説明し、同意書を持って同意を得た。本研究において利益相反はない。【結果】男性8名、女性7名計15名からデータ採取することが出来た。1週目、保湿剤を塗布した結果を介入前、2週目、清拭後に保湿剤を塗布した結果を介入後とし水分量の比較を行った。P値が0.05以下で有意差ありとみなし、水分量は平均、標準偏差は介入前23.8±4.62、介入後平均27.5±4.47、介入前後で<.001にて有意差があった。研究対象者にはスキンテア発生はなかった。【考察】水分量に関して介入前と介入後を比較し<.001と有意差を認め、介入後の水分量が上昇し保湿効果があったことが明らかとなった。米丸は「寝たきり高齢者の皮膚障害は、基本的な予防的スキンケアを行うことで軽減もしくは改善出来る。予防的スキンケアを継続して行うことが重要。」と述べ高齢者の皮膚に対し充分な保湿を継続する必要性がある。しかし、山本らの研究によると毎日の清潔ケアが皮膚の乾燥を悪化させた報告もあり「清潔ケアにより皮脂が除去された結果と考え、皮膚保湿頻度は清潔ケアの頻度と切り離して考える必要がある。」と述べている。毎日の清拭により皮脂が除去され皮膚の乾燥を増強する可能性もある。また介入前の水分量も上昇しており、保湿剤のみで水分量上昇の効果を認めている。今回の結果から、すべての患者に毎日の清拭をするのではなく、患者の皮膚状態に応じたケア方法を検討することと、継続して保湿することが効果的な保湿と考えた。また、研究対象者にはスキンテア発生はなかったことから、保湿の継続によりスキンテア発生予防に繋がると考える。今後は、患者に合わせたケア方法の選択と、継続して保湿できるようスタッフへの教育システムを構築する必要がある。