第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター7群 看護の質向上のための取り組み①

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:杉本 環

[ポスター7-4] 腰椎穿刺苦痛緩和プログラムの実施の効果

患者の身体的・精神的苦痛の軽減に向けて

原口 夕紀1, 秋吉 万純1, 柴田 美睦1, 木村 一絵2 (1.九州大学病院, 2.福岡国際医療福祉大学)

【緒言】脳神経内科病棟では、確定診断のため腰椎穿刺が頻繁に実施される。腰椎穿刺は身体的・精神的苦痛の大きな処置であるがA病棟は腰椎穿刺のケアや説明が標準化されていなかった。そこで、①パンフレットを用いた事前オリエンテーション、②検査時の体位体験、③処置中の声かけ、タッチング、枕使用で構成された「腰椎穿刺苦痛緩和プログラム」を作成した。【目的】作成した腰椎穿刺苦痛緩和プログラム(以下、プログラム)を実践することで、初めて腰椎穿刺を受ける患者が、穿刺や強制体位による身体的苦痛や、検査の不安や恐怖などの精神的苦痛を軽減できるか調査をすることで、プログラムの有効性を検証した。【方法】A病棟に入院中で、初めて腰椎穿刺を受ける患者を対象とし、研究参加に同意が得られた患者の最初の20名をこれまで通りの看護を行う従来群、後の20名をプログラムに基づき看護を行う介入群の計40名とした。検査後の身体的苦痛の評価として自記式質問紙調査において、体勢維持の辛さを調査し、疼痛はNRSで評価した。さらに検査説明・声かけの満足度を評価した。精神的苦痛は、緊張と興奮、爽快感、疲労感、抑うつ感、不安感の5項目で構成された気分調査票を用い評価した。調査は当日の検査直前と検査後に実施した。介入群では、検査前日にパンフレットを用いオリエンテーションを実施した。すべての統計解析は統計ソフトIBM SPSS Statistics Version 27.0を使用し、有意水準は5%未満とした。本研究はB病院の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:20202022)。【結果】従来群と介入群の年齢と男女比、検査時間、穿刺回数に差はなかった。検査後のNRSの平均値は従来群1.8、介入群1.1で介入群では有意に低かった(p<0.05)。また介入群では、体勢維持の辛さが有意に低かった(p<0.05)。検査説明の満足度には差を認めなかったが、声かけの満足度は有意に高かった(p<0.05)。気分調査票では、従来群と介入群において検査前と検査後をそれぞれ比較した結果、介入群では検査前の抑うつ感が有意に低かった(p<0.05)。検査後はすべての項目で差はなかった。【考察】介入群ではプログラムに基づいた声かけの統一やタッチング、ポジショニングの支援により疼痛や体勢維持の辛さを軽減でき、身体的苦痛の軽減に繋がったことが示唆された。介入群で検査直前の抑うつ感が低かった要因として、検査前日のオリエンテーションにより心の準備ができ憂うつな気分が軽減したことが影響したと考えられる。またプログラムの使用により検査の進行に応じ統一した声かけができたことで満足度が高まり、検査中の安心感に繋がったと推察された。【結論】プログラムの実施により患者の身体的苦痛を軽減できた。統一したケアの提供は、体勢維持の辛さを軽減させ患者の満足度を高めていた。さらに検査前日のオリエンテーションは抑うつ感の軽減に有効であった。