[ポスター7-5] 看護師のモーニングケアに対する認識
【緒言】「モーニングケア」という言葉は、臨床では日常的に使われている。しかし、看護基礎教育では、「整容」を学んでおり、新人看護職からのモーニングケアとして習っていないという言葉も聞かれる。そこで今回、経験年数別にモーニングケアに対する認識を調査したいと考えた。先行研究ではモーニングケアが患者に及ぼす影響については研究されているが、看護職の認識についての研究はされていない。A病院における看護職の経験年数別のモーニングケアに対する認識について調査しモーニングケアの質の向上の一助を得たいと考えた。【目的】A病院における看護職の経験年数別のモーニングケアに対する認識について調査する。【方法】 横断研究。臨床経験年数とモーニングケアについての認識を問う自記式無記名の質問用紙を作成した。モーニングケアについては事前に用語の説明を行い、看護職497名に配布し単純集計した。本調査は研究者が所属するA病院の生命倫理審査会の承認を得て実施した。【結果】モーニングケアの必要性は、全体の95%が「必要」と認識していた。モーニングケアの意義は全体60%~70%以上が、「見当識の維持」、「生活のめりはりをつける」、「覚醒促進」と捉えていた。「見当識の維持」は1~5年目11.0%、6~10年目11.1%であった。「生活のめりはり」は、11~20年目20.5%、21~30年目23.6%、31年目以上24.6%であった。「満足したケアが行えているか」については全体で出来ているが57.5%、出来ていない42.5%であった。そのうち、出来ていないと感じているのが6~10年目が44.0%、11~20年目が45.5%であった。「モーニングケアを満足に行えていない理由」として「緊急対応」と答えている6~10年目は6.0%。11~20年目は6.3%、また「患者対応」と答えている6~10年目は38.0%。11~20年目は29.1%であった。【考察】モーニングケアの意義を問う質問の結果から、看護職は患者の意識の維持や生活のリズムなどを意識してケアしていることが考えられた。その中で、1~10年目と10年目以上の看護師は「見当識の維持」と「生活のめりはり」の項目で差が見られた。この理由として、1~5年目は看護援助の一つとしてモーニングケアを捉えており、10年目以上の看護師は、患者の1日の生活の中でのモーニングケアとして捉えているのではないかと考えられた。先行研究では、看護師の朝の業務の増加に伴いケアが十分に行われていないという報告がある。6~20年目の看護職のモーニングケアの満足度が低い理由としては、看護職自身が認識しているモーニングケアの意義と臨床現場との乖離から満足度が低いことが推察された。【結論】看護職はモーニングケアを必要と認識していたが、経験年数別によって意義の認識と実施の内容に違いがあった。本研究は一施設における調査のため、さらに検討するために他施設でも調査していく必要がある。