第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター1群 在宅療養移行支援①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:村松 裕子

[ポスターM-1-2] 退院支援の研修に関する文献検討

-退院支援プログラムの開発に向けて-

猪狩 明日香1, 高木 良重2, 横尾 誠一2 (1.令和健康科学大学看護学部看護学科, 2.福岡国際医療福祉大学看護学部看護学科)

Keywords:退院支援、研修、移行期のケア

【抄録】
【目的】退院支援に関する研修は、主に病院看護師を対象とし、各医療機関で独自のプログラム内容で行われている。病院看護師が、地域での療養を想定しながら、入院時から退院までのケアを提供できるよう一貫した退院支援プログラムの作成が求められている。本研究では退院支援に関する文献検討を行い、研修概要とその成果を明確にすることを目的とする。本結果は退院支援プログラム開発の基礎資料とする。【方法】医学中央雑誌web 版(ver.5)を用い、2011 ~ 2021 年の国内文献の検索を行った。「移行期のケア」「退院支援」「退院調整」「研修」をキーワードに設定し、退院支援に関する研修の概要とその成果について記載されているものに着目し、17 文献を対象とした。退院支援に関するリンクナースや地域との連携を担う退院調整看護師の育成を目的とした研修は除外した。文献検討のために倫理審査の対象ではなく、公開後の文献を対象とした。【結果】研修概要は、講義形式が13 件、グループワーク9 件、実習9 件、《退院支援の実践力の強化》《多職種連携の理解》といった目的・目標が掲げられており、看護師以外の専門職者も対象者としているプログラムが開催されていた。多くの文献では、病院内の看護部教育者や訪問看護師が、研修の指導者を担っていた。研修の成果は、《退院支援の実践》《意欲の高まり・意識の変化》《意義・役割の理解》《知識・技術の習得》《課題の探究》《マニュアル管理・病院経営への貢献》の6 つのカテゴリーに分類された。【考察】研修概要は、講義中心の研修スタイルが主であったが、2013年以降は受講者が訪問看護師と同行実習を行うプログラムが増えている。その要因は「地域包括ケアシステム」の構築に向けた情勢が影響していると考える。また、看護師以外の医療職者も受講できる研修も開催されており、退院支援に求められている専門職者への知識と実践力の向上への取り組みであると推察する。研修の成果のうち、《退院支援の実践》《意義・役割の理解》《知識・技術の習得》においては、宇都宮の『退院支援の3 段階のプロセス』に必要な内容が網羅されていたが、社会保障の活用に関する《意欲の高まり・意識の変化》についての研修成果は示されていなかった。研修修了時点では、受講者が研修の成果を実感できる意識の段階には至っていない可能性があり、研修受講後のフォローアップや継続的教育、研修の開催数の検討を要する。