第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター11群 在宅療養移行支援③

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:和田 みどり

[ポスターM-11-3] 高齢な親と同居する精神科訪問看護利用者が抱く思い

-インタビューの質的研究から見えてきたもの-

中迎 明日香, 中川路 治子, 内園 由美子, 佐藤 ひろみ, 大橋 理恵 (鹿児島県立姶良病院)

Keywords:高齢な親、精神疾患、同居、訪問看護

【抄録】
【目的】高齢な親と同居する精神科訪問看護利用者(以下「訪問利用者」という。)の思いを明らかにする。【方法】A 病院訪問利用者で、高齢な親と2 人暮らしの6 名に半構成的面接を実施。内容をKJ法でカテゴライズした。倫理的配慮として本研究は、県立姶良病院の倫理委員会の承認を得て実施。研究参加者へ、研究の趣旨、研究発表、匿名性と個人情報の保護、途中辞退後の不利益が生じないことを説明し署名で同意を得た。【結果】高齢な親と同居する訪問利用者の思いには、『親への将来の不安』『親と暮らすジレンマ』『心の安寧』『親と暮らす安らぎ』『安心感をもたらす対人交流』『症状による苦痛との折り合い』の6 つのカテゴリ、13 のサブカテゴリが抽出された。【考察】高齢な親の介護は感情領域の消耗も大きく、親が自分で出来なくなる姿を目の当たりにすることで、今後の介護の必要性と困難性を、現実的問題として直面せざるを得ない状況となり、親の将来への不安に影響していた。また高齢な親との2 人暮らしは家族サイズが小さく、「親の為に家事を全部しないといけない」「やらないと罪悪感につながる」「親との同居がストレスになる」といった、<家庭での役割><親への陰性感情>に陥りやすく、『親と暮らすジレンマ』という心理的、身体的負担に繋がっていた。訪問利用者は、高齢な親の変化に対応しながら『親と暮らすジレンマ』『親の将来への不安』と揺らぎながらも、自身や親との愉しみを見つけ、親への肯定的感情から、『心の安寧』『親と暮らす安らぎ』を感じ精神的安定を得ていた。<親の健康変化>の影響は、マイナスの面だけでなく「仕事や家事をこなす」「親の為に何かしてあげたい」など新たな役割を得ており、<家庭での役割><前向きな私>といったポジティブな役割意識へと変化していた。訪問利用者は精神症状を抱える中で病気と付き合い『病状による苦痛との折り合い』をつけながら暮らしていた。また訪問利用者の思いの表出先として、<頼りになる他者の存在><訪問看護への期待>など『安心感をもたらす対人交流』を効果的に利用していた。今回抽出された、『親の将来への不安』『親と暮らすジレンマ』といった訪問利用者の心理に、看護師は早期に気付き対応することが必要である。また、『心の安寧』『親と暮らす安らぎ』を一緒に見いだし、肯定的にサポートすることは親との同居生活を継続する力になると考える。