第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター12群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:野田 洋子

[ポスターM-12-3] コロナ禍における面会制限に伴う看護師のストレス要因と今後の課題

門田 みどり (済衆館病院)

キーワード:面会制限、ストレス、看護師のモチベーション

【抄録】
【目的】緩和ケアには、患者のみならず家族のケアも重要となる。コロナ感染に伴い、自施設の緩和ケア病棟も面会制限を行うことになった。患者の精神的苦痛が増すだけではなく、家族からも看護師へ制限に伴うつらさを表出されることが増えた。対応を続けることで、看護師が疲弊する場面もあり、今まで経験したことがないストレスを感じる状況となった。このため、ストレスの要因を知り、どのようにこの危機に対応すればよいか課題を抽出し、今後の取り組みを見出す。【方法】スタッフ15 名にアンケート調査を実施した。1 回目のアンケート結果から検討したことを実践した。その後2 回目のアンケートを実施し、看護師がどのように現状を感じているか、気持ちの変化や個々の取り組みを確認した。【結果】1回目のアンケートでは、ストレスの要因は、家族の言葉からのつらさ、やりきれなさ、気分の落ち込みなど疲弊感であった。家族とのやり取りの中でストレスを感じ倫理的ジレンマも抱えていた。2 回目のアンケートからは、言葉でのストレスは軽減し、患者・家族へのケアが十分にできないという看護師としての役割不足に関連する内容となった。【考察】患者の精神的安寧を図るには、人とのふれあいや慣れ親しんだものとの関わりは重要となる。緩和ケア病棟というイメージからも、制限への抵抗感が看護師、家族共に強いと思われる。制限に対し、家族のやり場のない精神的苦痛が増し、その思いが看護師へ向くことになった。何とかしたいとジレンマと対峙する状況で、さらなる家族からの言葉は、看護師のモチベーションの維持にも影響を及ぼした。また、家族との対応に時間を要し、患者に十分なケアが行えず両立の困難を感じ、ジレンマが増したと考えられた。アンケート結果から、日々のカンファレンスや休憩時間などを利用し、自由に語れる時間を設け、思いを共有した。患者の携帯電話や院内のタブレットを活用し患者の様子を伝える、病室に家族やペットなどとの写真を飾るといった取り組みをした。スタッフの現状や家族の捉え方が変化し、受けもち看護師が中心となり、家族と患者の交流を継続する方法を考え実践したことで、看護の意味を実感しモチベーションを維持したと考える。看護師は役割を全うする意識が高く、ストレスを抱えやすい。看護師が自由に語れる環境を維持し、様々な状況下でも患者・家族により沿った看護の実践の継続が課題となった。