第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター12群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:野田 洋子

[ポスターM-12-5] 地域包括ケア病棟におけるテレビ電話面会を活用した患者・家族支援

野川 和美, 斎藤 歩, 石垣 憲, 栃内 優美 (盛岡市立病院)

キーワード:地域包括ケア病棟、面会禁止、テレビ電話面会、患者・家族支援

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染症対策による面会禁止中にテレビ電話を活用した遠隔面会を実施し、地域包括ケア病棟における患者・家族及び看護師へ与える影響と、患者・家族支援の方法を検討する。【方法】対象:1)地域包括ケア病棟入院中の患者・家族、2)病棟看護師。期間:令和3 年7~ 10 月。データ収集方法:患者・家族がそれぞれ院内の別室でタブレット端末を使用するテレビ電話面会(1 回10 分、週1 回。以下、遠隔面会とする)を実施し、対象者の反応を観察した。家族と看護師には遠隔面会の時間や満足度等について中立的尺度のない6 段階尺度の選択肢と自由記述のアンケート調査を行った。看護師へのアンケートは遠隔面会実施前後に行った。選択式質問は単純集計し、自由記述は類似性に従い質的帰納的に分析した。対象者に研究目的や参加の自由意思、匿名性保持について説明し同意を得た。【結果】対象は患者13 名と家族延べ32 名であった。患者の平均年齢は82.6 歳で、タブレット端末を普段所有しているのは13 名中2 名であり、遠隔面会中も操作に不慣れなため介助が必要であった。満足度と安心感に関する設問への家族の回答は「やや思う」「思う」「とても思う」の合計がいずれも100%で、自由記述では『顔を見て声を聞いて安心した』『もっと時間がほしいが感染対策のため仕方ない』などがあった。観察では、患者が涙を流す場面、直接会えず退院後の生活の想像ができないと不安を抱いていた患者・家族が互いの気持ちを表出でき退院調整を進められた場面があった。看護師へのアンケート調査は遠隔面会実施前17 名、実施後20 名に実施した。実施前の有用性への期待の設問では「やや思う」「思う」「とても思う」が17 名(89%)、実施後の有用性の実感は「やや思う」「思う」「とても思う」19 名(95%)で、実施後の自由記述では『面会禁止下での大切なツール』『多重業務となり負担が増えたが許容範囲内』などがあった。【考察】地域包括ケア病棟での遠隔面会は、時間等の制限、患者の年齢が高く操作に介助が必要である等の業務的課題はあるものの、間接的でも表情や声で患者・家族に安心感が与えられたと考える。患者・家族の心のケアという意味合いだけでなく、患者を取り巻く状況を理解し、退院先や治療方針への意思決定においても活用され、退院調整を円滑に進めるための患者・家族支援として有用であった。