第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター18群 セルフケア能力向上への支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:三木 幸代

[ポスターM-18-2] 看護師の人工股関節置換術後の歩行器歩行自立に関する実態調査

東 由紀, 玉鳥 由美, 幸松 佳代子, 西館 彩 (北海道整形外科記念病院)

Keywords:人工股関節置換術後、アンケート、歩行器歩行自立、看護師

【抄録】
【目的】A 病院では人工股関節置換術の翌日から歩行器歩行が開始となる患者は看護師が自立の判断をしている。しかし、A 病院には車椅子乗車チェックシートはあるが、排泄、洗面動作を含めての歩行器歩行自立の明確な基準はない。そこで看護師が歩行器歩行自立を判断するためにどのような情報を基にアセスメントをしているのかを明らかにする。【方法】2021 年9 月にA 病院病棟看護師99 名を対象に4 段階回答形式の質問紙調査を実施、配布・回収方法は留置法とした。内容は歩行器歩行の一般的な観察事項と脱臼に関する項目とした。質問毎に記述統計で全体を概観し、自由記載は内容分析を行った。【結果】質問紙は99 部配布し回収部数は86 部(回収率86.9%)、有効回答部数は78 部(90.7%)、歩行器歩行自立に向けた指導をした看護師は69 名(88.5%)であった。「いつも見ている」が多かった項目は患者状態では「立位バランスは安定しているか」で67 名(97.1%)、患者の動作では「靴を脱臼肢位とらずに着脱できるか」と「後ろ向きに歩いていないか」で69 名(100%)、少なかった項目は患者状態では「手術前の身体状況・運動能力」で38 名(55.1%)、患者動作では「膝が伸びているか」で48 名(69.6%)であった。「いつも見ている」の全項目平均は患者状態で83%、患者動作で92.5%であった。また、歩行器歩行自立の判断の要素としてトイレ前後の動作を含んでいると答えた看護師は67 名(97.1%)だったのに対し、洗面動作を含んでいると答えた看護師は52 名(75.4%)であった。【考察】患者状態は、患者動作よりも観察している看護師が少ない。患者状態は指導の時期、時間帯によって重要度が変化する項目があることや、車椅子乗車チェックシートに項目がないこと等が影響していると考えられる。車椅子乗車チェックシートと重複する項目の多い患者動作は多くの看護師が観察出来ており、個々の観察点の相違や差は少ない。患者状態・動作共に80%以上の看護師が「いつも見ている」と回答しているため、観察点はほぼ統一されており、共通した観察点を基にアセスメントを行い、患者が安全に歩行器歩行自立できるか判断していると考えられる。歩行器歩行自立の判断時機はトイレ動作を含むか洗面動作を含むかで異なっている。これは今後指標となる基準を作成することで、判断時機が統一され、また患者状態についても更に共通した観察が行えると示唆された