第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター2群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:増渕 美恵子

[ポスターM-2-5] 病棟間ローテーションを経験した中堅看護師へのアンケート調査からみえた長期支援の困難と今後の課題

小島 範子1, 岐部 千鶴1, 橋本 理恵子2 (1.大分中村病院, 2.関西医科大学看護学部)

キーワード:病棟間ローテーション、長期支援、支援体制

【抄録】
【目的】A 病院ではCOVID-19 感染者病棟の開設が決定した。その為、看護部ではCOVID-19 感染者病棟への長期支援、人材不足の急性期病床の看護体制維持のため、現部署に所属したまま他部署に1 年に渡る長期支援を行う取り組みを導入した。本研究では病棟間ローテーションを経験した中堅看護師の準備・不安・支援先の困難を明らかにし、病棟間ローテーションにおける課題への示唆を得ることである【方法】対象者:長期支援に赴いた看護師41 名 長期支援期間:2021 年5月~ 2022 年1 月 調査方法:無記名自記式アンケート調査 調査項目:看護師の経験年数・看護師ラダー・長期支援にあたっての準備・不安・支援先の病棟での困難などの項目 分析方法:看護師の経験年数、看護師ラダーについては単純集計、自由記述については質的に分析を行った。倫理的配慮:A 病院倫理審査委員会の承認を得、対象者に文書と口頭で研究の目的、内容について説明し承諾を得た。【結果】アンケートの有効回答数41 名(回収率100%)であった。長期支援を経験した中堅看護師の看護経験年数は、5 年未満11 名(26.8%)、6年以上30 名(73.2%)であった。看護師ラダーは、ラダー1~ 2 が13 名(31.7%)、ラダー3 以上が28 名(68.3%)であった。長期支援にあたっての準備は、《支援先で担う看護に合わせた学習》《看護手順・基準の見直し》《支援先での看護実践の情報収集》であった。長期支援に対する不安は《支援先での看護に対する知識・技術の不足》《業務内容の不明確さ》《新たな人間関係の構築》《健康面への影響》であった。支援先の病棟での困難は《支援先での看護に対する知識・技術の習得》《新たな業務内容の理解》《支援先での受け持ち患者への対応の難しさ》《支援先での役割過重》であった。【考察】長期支援を経験した中堅看護師は、経験年数に関係なく支援先の看護に関する知識不足を懸念し学習をすることを重要視しており、患者の支援の質を低下させないための責任と自覚を持っていることが明らかになった。中堅看護師にとって異なる部署での長期支援は新たな業務内容を理解し、経験の少ない看護を実践することであり役割過重でストレスフルな状況にあると考える。新たな環境で長期支援を担う中堅看護師の知識・技術を補うための指導態勢やストレス緩和の為の面談などの態勢が課題である。