第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター21群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-21-1] A 病院の看護師長が看護管理業務遂行に必要としている支援

-看護師長昇格時から現在までの意識調査から-

兵藤 洋子 (善衆会病院)

Keywords:看護師長昇格、上司の支援、看護管理業務

【抄録】
【目的】A 病院看護師長(以下、師長)の看護管理業務(以下、管理業務)遂行の実情から、どの時期にどのような支援を必要としているかを明らかにする。【方法】A 病院の看護管理師長経験5 年から12 年の9 名に、師長昇格に関する支援の有無や、どの時期にどのような支援が必要であったかについて、半構成的面接法によるインタビューを行い、得られたデータから逐語録を作成した。抽出したコードをカテゴリー分類し質的帰納法で分析した。すべての過程において、質的研究の経験のある研究者と検討を重ねカテゴリーの信頼性の確保に努めた。A 病院看護研究倫理審査会の承認後、研究の趣旨、方法、匿名性の保持、自由意思での参加、プライバシーの保護等について説明し同意を得た。【結果】173 個の <コード>、27 個の《サブカテゴリー》、8個の[カテゴリー]が抽出された。師長らは、[困難な手探りの看護管理業務」に、[孤独の中、自尊心低下]を感じていた。師長らが必要としていた支援は[スタッフ時期の多部署の経験]ができる支援、[主任時期の師長の視点と思考]を培える支援であった。更に、[師長昇格時の承認による動機づけ]、[師長昇格時の基本的管理業務のOJT]、[師長昇格後の管理者教育・指導]の支援を必要としていた。また、時期を問わず[いつでも相談できる上司の支援]を求めており、コード数は43 と最大であった。【考察】師長らは動機づけがないまま師長昇格となり、前向きになれないまま管理業務を遂行していたと推察される。動機づけについて山本ら(2012)は、「師長らの姿勢と状況により、上司との関係性が阻害因子にも維持・促進因子にもなる。」と述べている。師長らが上司に支援を求めるコード数が最大であったことからも、上司は師長らと関係性を築いた上で、承認し動機付けを行いながら継続して支援していく必要がある。また師長らは、管理業務の困難さに、業務遂行に対するOJT による指導だけでなく、師長昇格前に複数の病棟経験や、主任の時期に師長としての視点や思考を持てることが必要だったと感じている。更に師長昇格後の教育・指導を求めていることから、スタッフ看護師の部署異動の仕組みや、主任の時期の看護管理の教育・指導の体制、昇格後からも継続した師長教育の体制を整備することが必要であると考える。