第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター21群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-21-2] 看護師の成長に繋がらなかった要因分析と成長に繋げる関わり

古川 光, 川股 康子 (総合東京病院)

キーワード:看護師長、振り返り、人財育成、指導方法

【抄録】
【目的】看護師長は個人に合わせた指導を行い、人材育成を行う役割を担っている。しかし指導にあたっている看護師長は、指導方法が看護師の成長に繋がっていないと感じていた。本研究では、看護師長の関わりを振り返り、看護師の成長に繋がらなかった要因を分析、看護師の成長に繋げる関わりを明らかにした。【方法】期間:2021 年4 月~ 9 月。場所:A病院回復期B、C 病棟。対象:A 病院看護師長2 名。研究デザイン:事例研究。看護師長と看護師5 名(女性3 名、男性2 名。経験年数5 ~ 20 年。回復期経験2 ~ 4 年)の関わり場面をプロセスレコードに起こし、看護師長が感じた事を抜き出し整理した。整理した内容から、要素、サブカテゴリー、カテゴリーを抽出。抽出したカテゴリーの内容を分析し考察した。本研究は対象者に口頭と書面で趣旨を説明し同意を得て実施した。【結果】看護師長と看護師の関わりで感じた事を分析し、16 の要素から6 つのサブカテゴリーと3 つのカテゴリーが抽出された。カテゴリー「課題を自覚させる」のサブカテゴリーは「課題に気が付いていない」「振り返りを行い課題を自覚させる」であった。カテゴリ-「スタッフに興味を持つ」のサブカテゴリ-は「観察を通しスタッフに興味を持つ」「関わりから浮き彫りになったスタッフの気持ち」であった。カテゴリ-「本人に合わせた指導」のサブカテゴリーは「本人に合わせた指導方法を行う」「成長できる環境」であった。【考察】看護師の成長に繋がらない要因は、自己の課題を自覚できるように指導していなかったこと。看護師個人の指導ではなく、起こっている事象への指導に留まっていたこと。看護師長の看護師にこうなってほしいという思いと、これくらいはできて当たり前という主観で指導が行われていたこと。看護師の抱える思いや過程に目を向けておらず、一方的な指導であったこと。これらが要因となり、看護師長と看護師が認識する課題の内容に差が生じ、指導が成長に繋がらなかった事が明らかとなった。本研究では看護師長が関わりを振り返り、看護師自身に興味を持ち関わった事で、看護師は自己の課題を自覚することができた。関わりの中から看護師の特性を知り、本人に合わせた指導を行うことにより看護師を成長に導く事ができた。このことから、看護師長は常に看護師の個別性を分析し指導をしていくことが大切であることが明らかになった。