第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター21群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-21-3] 新任看護師長心得が感じる困難さと必要な支援の検討

須藤 美奈子, 大垣 聡子 (総合東京病院)

キーワード:新任看護師長、新任期、困難、支援、育成

【抄録】
【目的】開院後8 年間で増床を繰り返し、看護単位が倍増したA 総合病院における新任の看護師長心得(以下心得とする)が感じた困難さを抽出し、必要な支援内容を明らかにする。〈用語の定義〉心得とは看護主任から看護師長に昇進する前段階の看護師長見習いをさし、所属長代行としての役割。【方法】質的帰納的デザイン。研究対象者は心得昇任後3 年以内の5 名(男性2 名、女性3 名)で、平均38.8 歳(33 歳~ 44歳)。研究対象者に研究の主旨、研究参加の任意性と中断の自由、不利益の回避、個人情報の保護、データ管理について口頭と文書で説明し同意を得た。面接は、「打診時の気持ち」「昇任後の自己研鑽」「自分の行動・認識の変化」「不安だがやっている・やっていない項目」「心得に必要とされる具体的な支援」「看護管理者教育や支援開始に望ましい時期」を基本事項とした半構造化自由回答法で聞き取った。その後、逐語録を作成、各々をコード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化した。【結果】心得が感じる困難さと支援内容は174 コード、26 サブカテゴリーであった。さらに〈対話の機会〉〈管理者承認制度の明確化〉〈職務役割の明確化〉〈実践的な管理研修〉〈役割変化による行動変容〉〈ロールモデル不在〉の6つのカテゴリーに分類された。【考察】6 つに分類したカテゴリーのうち〈管理者承認制度の明確化〉〈ロールモデル不在〉の2 つのカテゴリーは、看護単位増加に伴い迫られた管理職増員と体制構築が関連した特有の困難さと考えられた。また、心得が求めていた支援は4 つのカテゴリーであった。〈対話の機会〉では先輩や上司による相談窓口を求め、看護部会議に情報共有、検討、解決の場としての役割を期待していた。〈職務役割の明確化〉は、役割範囲が拡大して業務分掌との不一致が生じ、何をしたら良いかわからないと感じていた。〈実践的な管理研修〉では、殆どの心得が昇任前から勤務表作成や事業計画に関わる中、「判断に自信がない、確証がない」と回答した。この不安を補う労務管理、診療報酬、問題解決などを研修項目に挙げていた。〈役割変化による行動変容〉では、心得は困難を感じる中、コミュニケーション、次世代管理者候補育成、業務の根拠を再認識し行動変容を起こしていた。これらの4 つのカテゴリーを推進することが昇任時の困難さを軽減する必要な支援であることが示唆された。