第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター22群 安全・安楽への支援①

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:宮﨑 貴子

[ポスターM-22-5] 硝子体手術後、腹臥位安静患者の褥瘡発生の実態と関連要因

久慈 瑞希 (東北大学病院)

Keywords:褥瘡、網膜疾患、腹臥位

【抄録】
【目的】網膜剥離や黄斑円孔などの網膜疾患による手術では、術後硝子体腔に注入したタンポナーデ物質の浮力や表面張力を活かして網膜を復位させるため、術後腹臥位を保持することは網膜の復位に関わる。A 病院では、独自の腹臥位安静枕を使用し腹臥位の保持を指導しているが、前額部や下顎、肘に褥瘡が発生する事例があった。この研究によって腹臥位安静時の褥瘡発生に関連する要因を明らかにすることを目的とする。【方法】2017 年2 月から2019 年8 月にA 病院に入院し、硝子体手術を受け、術後腹臥位治療を受けた全患者を対象とし、褥瘡発生要因を分析した。褥瘡の定義としてDESIGN-Rのd1 持続する発赤以上を褥瘡発生とした。褥瘡発生要因項目として、年齢、体重、BMI、日常生活自立度、視力を診療録から後ろ向きに調査。データを褥瘡発生群と非発生群に群分けし、褥瘡発生要因項目の群間比較を実施し、有意水準を0.05 とした。研究実施については所属施設の臨床研究倫理委員会の承認を得た。研究対象者のデータは匿名化し、個人が特定できないよう管理した。【結果】対象患者は800 名であり、褥瘡発生は87 名で褥瘡発生率は10.9%であった。そのうち男性41 人、女性46 人(P=0.06)であった。腹臥位期間は褥瘡あり群9.05 ± 3.52 日、褥瘡なし群8.13 ±3.13 日(P = 0.01)、年齢は褥瘡あり群58.64 ± 14.41 歳、褥瘡なし群60.63 ± 13.9(P = 0.21)だった。BMI は褥瘡あり群23.60 ± 4.03、褥瘡なし群24.34 ± 4.12(P = 0.10)、体重は褥瘡あり群60.85 ± 12.48kg、褥瘡なし群64.19 ± 13.90kg(P=0.03)だった。日常生活自立度は、褥瘡発生がJ:84 人、A:3人、B:0 人(P = 0.83)だった。視力は褥瘡あり群0.41 ± 0.45、褥瘡なし群0.46 ± 0.44(P = 0.27)だった。【考察】褥瘡発生の要因として、腹臥位期間が挙げられ、同一体位の期間が長期化するほど褥瘡発生のリスクが高くなることが明らかとなった。早期から適切な腹臥位保持方法について患者指導を行い、褥瘡予防に努めていく必要がある。また、褥瘡あり群はなし群と比べて体重が重いと予想していたが、結果は反対であった。この理由として、腹臥位保持では体重が軽いことで、同一部位に圧が集中し、褥瘡発生につながると考えた。