第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター22群 安全・安楽への支援①

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:宮﨑 貴子

[ポスターM-22-6] 膝関節屈曲角度が及ぼす仙骨部への圧迫強度の検証

-ポジショニング・体位変換の根拠-

対馬 香織1, 中垣内 愛1, 永冨 由香利1, 森田 みどり1, 山内 京子2 (1.広島はくしま病院, 2.広島文化学園大学看護学部看護学科)

Keywords:褥瘡、仙骨部圧迫強度、膝関節屈曲角度、ポジショニング

【抄録】
【目的】下肢挙上による膝関節屈曲角度が仙骨部に及ぼす圧迫強度との相関について明らかにし褥瘡発生予防について検討する。【方法】準実験研究:被験者はA 病院B 病棟看護師21 名。BMI を18.5 以上25 未満(普通体重値)とし、皮下脂肪の観点から男女差が生じないよう成人女性とした。接触圧に影響を及ぼす着衣は、下着1 枚と同一の白衣とした。膝関節屈曲角度と仙骨部の接触圧については次の方法でデータを収集した。携帯型接触圧力測定器をベッドマットレスの上に設置。被験者はベッド上仰臥位になり、膝関節屈曲90 度、135 度、180 度をランダムにとり、接触圧を20 秒に1 回、計3 回測定、その平均値を仙骨部接触圧とした。分析は各屈曲角度の3 回の測定値の平均を用い、Excel(2016)で行った。A 病院倫理委員会の承認を得て行い、研究への参加は書面への署名と提出をもって同意とした。氏名をコード化し外部へ情報流出がないよう十分配慮した。【結果】膝関節屈曲90 度の平均接触圧は37.2mmHg(以下、小数点第2 位四捨五入)、135 度では35.6mmHg、180 度で23.9mmHg であった。90 度と135 度の平均の差は1.6mmHg、135 度と180 度の差は11.7mmHg であった。接触圧が40mmHg 以上となった者は、90 度屈曲では5 名、135 度では2 名、180 度では0名であった。【考察】膝関節を深く屈曲すれば、仙骨部への接触圧も相関して高くなっていたことから圧迫強度も高くなると推測できる。臨床での褥瘡予防においては、局所体圧値40mmHg 以下が推奨されている。平均値ではどの角度も40mmHg 以下であったが、90 度屈曲では5 名に、135 度では2 名に40mmHg 以上となった者がおり、膝関節を屈曲する場合、135 度以上では褥瘡発生のリスクが高まることが明らかになった。加えて90 度と135 度、135 度と180 度の接触圧の差は約7 倍となっており、135 度以上になれば接触圧は容易に40mmHg 以上になると推察される。また健常青年に対し、寝たきり老人の体圧は約2 倍になるとの報告もあり、入院患者の7 割強が高齢者であるB 病棟では、この接触圧は更に高まることが予測される。今回明らかになったように膝関節屈曲角度を135 度以下に保つことが、接触圧40mmHg以下に抑える1 つの目安となり、褥瘡発生予防に有用であると示唆された。