第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター25群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:大柴 幸子

[ポスターM-25-3] A 病院のCOVID-19 高齢患者におけるせん妄とLipowski の3 因子との関連性

新田 稚菜, 小林 美津子, 木村 祐紀, 大道 由衣, 木下 幸子, 米倉 和宏, 小﨑 直美 (徳島県立三好病院)

キーワード:せん妄、Lipowski、COVID-19、日本語版NEECHAM 混乱・錯乱スケール

【抄録】
【目的】COVID-19 高齢患者のせん妄発症予防に早期から介入していくために、せん妄の有無とLipowski の3 因子との関連性を明らかにする。【方法】1.調査期間:2020 年2 月1 日から2021 年5 月31 日。2.研究対象:A 病院B 病棟に入院となった統合失調症・躁うつ病などの精神疾患(以下、精神疾患)を有さないCOVID-19 高齢患者68 名。3.調査方法:年齢、せん妄ハイリスク薬の有無、脳器質的障害の有無、身体抑制の有無、点滴の有無、酸素投与の有無、障害高齢者の日常生活自立度(以下、寝たきり度)、認知症高齢患者の日常生活自立度(以下、認知症のレベル)、介護度、転倒転落アセスメントスコア、転倒歴、糖尿病の有無についてカルテよりデータ収集する。次に、日本語版NEECHAM 混乱・錯乱スケールThe Japanese version of the NEECHAM Confusion Scale(以下、J-NCS)を用いてせん妄の有無とLipowski の3 因子との関係性について、スピアマンの順位相関係数にて因果関係を求めて重回帰分析を行い、せん妄の有無との関連を分析する。【結果】1.A 病院B 病棟に入院した精神疾患を有さないCOVID-19 高齢患者のせん妄発症率は52.4% であった。2.せん妄には、「認知症のレベル」「介護度」「酸素投与」「身体抑制の有無」が関連する。【考察】COVID-19 の感染管理の特性、認知症高齢者の入院が多いといった患者の特性はLipowski が提唱したせん妄発症の3 因子の複数に該当しているためせん妄発症に繋がったと考えられる。また、COVID-19 の病態の特性として、中等症以上になると、酸素投与や薬剤投与、さらに呼吸困難・息切れなどの呼吸器症状といった身体的苦痛や、恐怖・不安といった精神的苦痛も加わる。そのため、前病院や施設・家族と連携を図り、認知症症状やセルフケア能力を十分に把握すること、患者のフィジカルアセスメントを的確に行い、重症化サインを早期に発見し介入を行うこと、あらかじめせん妄発症リスクを予測し、早期から患者の特性に合わせたせん妄予防策を実施することが求められる。そして、せん妄発症予防においては、患者にとって安全で快適な入院環境の調整、不安や緊張の増大を緩和する支援が重要である。