第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター28群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護②

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:栂野 加寿枝

[ポスターM-28-1] 多職種による入退院支援カンファレンス実施におけるアウトカム評価

-高齢患者の術後せん妄について考察する-

渡邊 一也 (坂総合病院)

Keywords:術後せん妄、高齢者総合機能評価、高齢者、入退院支援カンファレンス、多職種連携

【抄録】
【目的】A 病院外科病棟では、多職種による入退院支援カンファレンスを実施している。高齢者について、術前の高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment: CGA)の結果と退院先や退院に向けての課題などを討議している。高齢化率が高いことは術後せん妄のリスクが増加傾向にあると推察。術後せん妄は、入院期間の延長や予後悪化につながる。高齢者は個人差が大きく、治療前に多様性を評価することが推奨されている。多職種による入退院支援カンファレンスの実施効果について、先行研究の内容の再探索及び看護の視点から、安全性や倫理的側面を術後せん妄の観点から調査した。【方法】研究デザイン:後向き観察、ケースコントロール研究。対象:2015 年6 月から2020 年12 月にA 病院外科で全身麻酔下に消化器疾患待機的手術を施行した75 歳以上の高齢者338 例。患者背景、CGA の結果、環境面とインシデント、転倒・転落、身体抑制(看護の視点)についてせん妄発症群、非せん妄発症群に分類して比較検討した。収集したデータの分析は、ピアソンのχ2検定(EZR)を用いて実施。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得た。【結果】せん妄発症は全体338 例に対し18 例(5.3%)に認めた。年齢、チャールソン併存疾患指数、薬剤、術後入院日数で統計学的有意差を認めた。逆に、術前入院日数はせん妄発症群で短い傾向にあったが統計学的有意差を認めない。CGA についてせん妄発症群では、日常生活動作を数値で評価する方法(Barthel Index: BI)で統計学的有意差を認めた。環境・看護面:ICU 入室、インシデントは統計学的有意差を認めなかったが、転倒・転落、身体抑制は統計学的有意差を認めた。【考察】本研究おけるせん妄発生率は5.3% と先行研究に比して低率。多職種によるCGA に基づいた取り組みは有効であったと推察。統計学的有意差はないが、せん妄発症群では、術前入院期間が短い傾向で、身体・認知機能低下や抑うつ・不安の存在を認めた。せん妄予防には術前の薬剤調整やスタッフとの信頼関係構築のため、術前に十分な期間を確保する必要があると推察。転倒・転落、身体抑制については、統計学的に有意差を認めた。丁寧なコミュニケーションをフェーズごとに実践するチーム医療の提供が重要と考えられた。