第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター29群 リスクマネジメント①

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:原田 路可

[ポスターM-29-1] 急性期病院における転倒転落発生要因の分析

荻島 真弓, 鈴木 美佐, 山本 希, 杉山 希, 田村 美紀 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

Keywords:急性期病院、中管理者、転倒転落

【抄録】
【目的】A 病院における転倒転落発生事例から発生要因の分析を行い、現状値を把握することで中間管理者として取り組むべき課題を見出す。【方法】2019、2020 年度の転倒転落発生報告件数814 件について、インシデントレポートの内容から内的要因、外的要因、共通に分類。発生要因を分析し、転倒転落の危険度が高い患者の事故防止の低減に向けた取り組みを検討し、中間管理者として看護師教育に役立てるための資料とする。倫理的配慮:所属施設の倫理審査委員会相当の機関にて承認を得た。【結果】2019 年度の発生要因は、内的要因50%、外的要因35%、共通15%。2020 年度は内的要因24%、外的要因42%、共通34% であった。分析の結果、患者側の要因として「せん妄」「認知症」「筋力の低下」「自立心」「薬剤の影響」が大きい。外的要因は、ナースコールの位置、ベッド周囲の環境調整など「環境整備不足」や移動・移乗時の介助、身体拘束やセンサーに使用など看護師側の「アセスメント不足による対策の不備」が挙げられた。2020 年度転倒転落危険度3b 以上の転倒転落件数6 件のうち、内的要因3 件、外的要因2 件、共通1 件であった。また、転倒転落アセスメントスコアシート危険度2 以上の患者の転倒転落発生率は入院患者0.27% であった。【考察】転倒転落の要因には、運動障害や高次機能障害、認知症高齢患者があり、A 病院にはこのような患者が多く入院しているため、内的要因への予防策としてせん妄・認知症ケア、転倒予防体操などパンフレットを使用した視覚的な患者教育が重要と考えられた。外的要因では介助者のアセスメント不足や断片的な判断で夜間身体拘束を緩徐にして転倒しており、安全の基本となるベッドサイドの環境整備を重視した外的要因の除去を強化することで転倒転落発生率の低減が期待できると考察する。A 病院の2021年病床利用率は95.5%、平均在院日数は11.4 日である。患者の疾患や身体の状態・移動能力の低下や、患者自身が自分は動けるだろうという過信が生じる中で、看護師は交代制で関わっている。患者の情報共有や看護師の危険認知力向上のためにも、転倒転落アセスメントスコアシートの定期的な評価と看護計画への反映、転倒リスクの高い患者に対しアセスメントをもとに転倒予防を意識したケアの提供など看護師への教育が中間管理者としての今後の課題と考える。