第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター29群 リスクマネジメント①

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:原田 路可

[ポスターM-29-2] 急性期病院における転倒転落発生率低減に向けたワーキンググループ活動

-外的要因に焦点を当てた取り組み-

田村 美紀, 鈴木 美佐, 山本 希, 杉山 希, 荻島 真弓 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

Keywords:急性期病院、外的要因、転倒転落

【抄録】
【目的】危険度3b 以上の転倒転落発生率の低減を目的に、転倒転落発生要因の分析結果から転倒アセスメントスコア危険度2 以上(以下危険度2)の患者への外的要因の対策を強化する。【方法】転倒転落発生報告件数814 件の分析結果から、外的要因の除去を目指し1.転倒転落予防環境チェック表を使用した環境整備の実施2.転倒転落予防パンフレットの活用についてのアンケート結果から、管理者ワーキンググループ活動として転倒転落発生率低減に向けた介入の効果を検討する。倫理的配慮:所属施設の倫理審査委員会相当の機関にて承認を得た。【結果】1.転倒転落予防環境チェック:16部署を対象に、危険度2 以上の患者に対する環境整備の強化を行った。導入にあたり、看護部医療安全対策委員会でリンクナースへ動機づけを行い実施した。危険度2 以上の患者は51.2% であり、危険度2 以上の環境チェック率89.6%、転倒転落発生後の環境チェック実施割合55.0% であった。危険度3b 以上の発生率は0.02‰である。2.転倒転落予防パンフレットの活用:安全な入院生活を送るための転倒転落防止啓発、患者に転倒転落予防へ参画してもらうことを目的に2020 年より院内統一のパンフレットを導入し活用についてアンケートを行った。ワーキンググループ活動により、パンフレットの周知は95.3%、運用基準にあるパンフレットを使用した入院時への説明では、入院時に81.5% が実施できていた。そのうち転倒転落予防について指導した内容を記録に残している看護師は64.6% であった。【考察】1.ワーキンググループの介入により環境ラウンドは毎日実施されるようになった。昨年と比較し危険度3b 以上の発生率は低下しているが、環境ラウンド時間や方法は部署に任せており全部署実施には至っていない。外的要因である環境整備を行うことで転倒転落発生の低減につながるため、実施の効果を提示しチェックシートを用いることで業務的にならないように働きかけていくことが今後の課題である。2.パンフレットの内容や使用については概ね問題はなかった。昨年度と比較しパンフレットは周知され活用できていたが、看護記録への記載は十分でない。患者教育により入院患者の転倒転落予防の意識が高まり効果が期待できるため、中間管理者として看護師の経験や認識により指導内容に差が生じないように働きかけることが重要と考える。