第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター29群 リスクマネジメント①

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:原田 路可

[ポスターM-29-6] 手指衛生遵守率向上に向けた啓発活動とその効果

水尻 信雄, 杉澤 貴美子, 佐々木 照美, 藤井 真希 (十和田市立中央病院)

Keywords:手指衛生、速乾性手指消毒剤、遵守率、啓発活動、キャンペーン

【抄録】
【目的】動画、ポスター、グラフ掲示を組み合わせた手指衛生キャンペーンを通して適切なタイミングと方法で手指衛生を実践できるようになるか検証する。【方法】研究対象:看護師長、研究メンバーを除く病棟看護師179 名とし研究の目的と調査方法を説明した。2021 年1 月~ 4 月の期間手指衛生キャンペーン(動画配信、手指衛生5 つのタイミングのポスター掲示、病棟毎の手指衛生回数比較グラフ掲示)を実施した。キャンペーン前後に調査を実施し、前後共に提出した有効回答を単純集計した。調査は、①手指衛生方法の選択、タイミング、手袋装着前後の手指衛生、手荒れ対策とスキンケアについて4 件法で17 項目を回答。②検温と点滴交換の連続する場面を9 行動に分け、その行動の前、間、後を10のタイミングとして手指衛生実施の有無を記入する調査用紙を使用した。速乾性手指消毒剤の払い出し量から、1 患者1 日当たりの手指消毒回数を算出し、キャンペーン前後で比較した。対象者の研究参加は自由意思とし不利益を回避するための配慮を実施した。【結果】有効回答41 名であった。手指衛生のタイミングや手技に関する項目では、いずれもキャンペーン後「いつもしている」「どちらかといえばしている」人が増加した。検温と点滴交換を続けて行う10 項目の場面ごとの手指衛生の実施状況は、いずれの場面もキャンペーン後に実施した人数が増えた。手指衛生5 つのタイミングのうち患者周囲環境に触れた後に該当する2 場面で、実施が25人(60%)から33 人(80%)に増加した。検温の一連の作業の間で省略できる3 場面では、最も多い場面で12 人(29.3%)から23 人(56.1%)と約2 倍に増加した。1 患者1 日当たりの手指衛生回数は、キャンペーン前4.04 回からキャンペーン後5.24 回に増加した。【考察】手指衛生キャンペーンは、言葉ではなく動画で視覚的に働きかけることで手指衛生のタイミングや手技をイメージ化でき、手指衛生の意識向上につながったと考える。病棟毎の比較グラフの掲示により、競争心が高まり手指衛生回数の増加につながったが、逆に手指衛生を必要としない、連続する看護業務のなかでも手指衛生の実施が増え、タイミングの理解として知識の習得には繋がらなかった。手指衛生遵守率維持向上のためには、評価及びフィードバッグを繰り返す介入やキャンペーンの継続が必要と考える。