第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター30群 安全・安楽への支援②

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:飛世 真理子

[ポスターM-30-5] 新型コロナウイルス感染症患者の酸素療法デバイスによるMDRPU 予防に向けた取り組み

柳瀬 太郎, 高橋 歩, 田口 三知, 川口 晃生, 中嶋 ゆう (東京都立松沢病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症、COVID-19、医療関連機器圧迫創傷、MDRPU

【抄録】
【目的】A 精神科専門病院は、2020 年4 月からCOVID-19 患者を多数受け入れ、2021 年1 月以降は、酸素投与が必要な中等症2 以上の入院患者が急増した。酸素療法デバイスによる耳介や鼻部の医療機器関連圧迫創傷(以下、MDRPU)の発生を予防するため、皮膚保護剤の使用方法を工夫した結果、褥瘡発生を予防することができたので報告する。【方法】2021 年5 月~ 8 月、研究者4 名と皮膚・排泄ケア認定看護師と協力し、酸素療法デバイスを要した患者58 名を対象に、デバイス別にクッションドレッシング(以下ココロールとする)とギブス用下巻包帯(以下、ブルーラップとする)を使用した。皮膚障害発生の有無を観察し、MDRPU 発生件数を集計・分析した。倫理的配慮は、対象者に研究方法、個人情報保護、結果の公表について説明、同意を得た。当該施設の看護部倫理審査会の承認を得て実施した。【結果】B 病棟は、職員の感染暴露に対するリスク回避の観点からベッドサイドケアや観察時間を短縮せざるを得ないことや適切なスキンケアが行き届かない状況が発生していた。また、精神疾患患者や認知症患者の多くは、デバイス使用に伴う圧迫痛を的確に訴えることが困難なことから、取組み前1 月~ 4 月は、対象者70 名中3 名にMDRPU が発生した。そこで、ココロールとブルーラップの使用方法を検討し、5 月から皮膚保護の使用および圧迫創傷好発部位の観察を開始した。酸素カヌラは頬部から耳介までを螺旋状に巻き、酸素マスクは頬部と鼻柱の接触部位に貼用した。ゴムストラップ部位にはブルーラップを螺旋状に巻いた。また、ネーザルハイフローは頬部と鼻柱の接触部位に貼用し、布ストラップにはブルーラップを螺旋状に巻いた。使用方法を統一するために使用見本を掲示し、何時でも使用できるよう必要な長さにカットしたものを準備した結果、5 月以降のMDRPU 発生は0 件であった。【考察】看護師は個人防護具を装着して綿密な作業を要するMDRPU 予防ケアは困難であったが、酸素療法デバイスそのものに皮膚保護剤を用いたことにより、簡便かつ効果的な圧迫創傷予防対策が可能となったと考える。また、研究者が適宜、皮膚保護剤の使用状況を確認することで褥瘡予防に関するタイムリーな情報共有や、皮膚保護剤の統一した使用方法の周知・徹底を図ったことは、酸素デバイス使用患者のMDRPU 発生予防に有効である。