第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター30群 安全・安楽への支援②

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:飛世 真理子

[ポスターM-30-6] 高齢者の剥離予防を目的とした有効な保湿剤の検討

鬼澤 三映, 久米谷 真弓 (鬼石病院)

キーワード:高齢者、剥離予防、保湿剤

【抄録】
【目的】A 病院療養病棟の入院中の男女65 歳以上の患者において、グリセリンとウレパールの塗布後の皮膚の保湿効果を明らかにし、高齢者の剥離予防の示唆を得る。【方法】調査病院の倫理委員会承認後、主治医の許可を得た対象者に研究目的を説明し意思確認を行った。意思確認できない方には家族に書面で説明し同意を得た。データは目的以外に使用せず研究終了後、速やかに破棄する事を説明した。保湿剤を塗布する前と週2 回清拭・入浴後にグリセリン又はウレパールを塗布した直後と、30 分、1H、3H、24H、48H、72H 後に対象者の右踵・右前腕前面手関節より上5cm を測定器(美ルルスキンチェッカー)を用いて、水分量(%)・脂分量(%)を計測・数値化し、ウレパール群・グリセリン群の比較を行った。【結果】対象者は男性3 名、女性4 名。平均年齢93.3 歳。腕の水分量平均値は、30 分、1H、3H、24H、48H、72H 後の順で、ウレパール群41.7、42.1、40.4、37.8、38.8、34.5、グリセリン群39.8、41.8、39.9、39.5、34.7、35.3 であった。踵のウレパール群39.3、37.5、37.3、36.1、36.5、30.2、グリセリン群38.2、38.4、39.2、34.8、35.0、32.5 であった。腕の脂分量平均値は、ウレパール群30.3、31.3、33.6、33.2、33.0、35.1、グリセリン群31.2、32.7、30.1、32.5、33.8、33.8 であった。踵のウレパール群27.5、26.8、29.0、30.4、29.2、35.7、グリセリン群30.0、27.1、29.4、29.7、34.8、36.1 であった。水分量・脂分量共に、腕は時間経過によって低下したが、踵は時間経過と数値にばらつきがあった。【考察】ウレパールとグリセリンの差はみられなかったが、腕、踵共に24H から48H 後に水分量の低下が大きくなる為、入浴・清拭後に限らず軟膏の塗り直しが必要である。踵では時間経過に関係なく数値の変動がみられる事から、マットレス等の摩擦が影響していると推測される。よって、皮膚保護に関する予防的スキンケアの必要性を理解し、部位によっては摩擦の影響を考慮して日常的にケアを行う事が必要である。今回の結果から、適切な時間を考慮した軟膏の塗布が高齢者の脆弱な皮膚の剥離予防に繋がると考える。