第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター31群 看護管理~質管理~

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:中村 くに子

[ポスターM-31-2] 緩和ケア病棟における緩和ケアの質評価と今後の課題

-遺族調査を通して-

米口 里沙, 村野 寿子, 山崎 恵, 城山 奈穂美 (公立豊岡病院組合立豊岡病院)

Keywords:緩和ケア、遺族調査、質評価

【抄録】
【目的】緩和ケア病棟で提供された緩和ケアについて、遺族調査を通し実態や課題を明らかにする。【方法】2019 年4 月以降にA 病院緩和ケア病棟で患者を看取った遺族200 名に郵送法による無記名自記式の質問紙調査を行った。調査用紙は、既存尺度のDPS、GDI、CES を基に、研究者が独自に作成した。〔からだの苦痛に関する対応〕〔こころの苦痛に関する対応〕〔日常生活援助への対応〕〔尊厳への対応〕〔社会的苦痛の対応〕〔家族への対応〕〔療養環境〕〔医療者の連携〕の8 領域28 項目で構成し、各項目を6 段階リッカート尺度で評価した。データは単純集計し、回答分布及び割合の合計を分析した。倫理的配慮:A 病院看護部看護研究委員会倫理審査の承認を得た。対象者に趣意書で説明し、調査用紙の返送をもって同意を得た。【結果】161 名の返送があり、回収率80.5%であった。からだの苦痛、こころの苦痛、日常生活援助、尊厳、療養環境、医療者の連携は全項目で90%以上がややそう思う、そう思う、非常にそう思うの肯定的評価であった。社会的苦痛は、経済的負担への配慮、役割が果たせないことの苦悩のいずれも肯定的評価は70%台であり、無回答は14%を占めた。家族への対応は、全項目で85%以上が肯定的評価であったが、突然息をひきとること、看取りに向けての心の準備の説明は10%が否定的評価であった。【考察】社会的苦痛、家族への対応を除く6 領域は、90%以上が肯定的評価であった。これは、心身の苦痛緩和だけでなく、個々の生き方や価値観を尊重したケアの積み重ねが評価されたと考える。社会的苦痛の対応の不十分さは、経済的問題の知識不足や社会的役割喪失への介入の苦手意識が背景にあると考える。家族への対応は85%以上が肯定的評価であり、悲嘆を意識した家族への関わりが評価されたと考える。しかし、看取りに向けての心の準備の説明については、家族の認識や心の準備のアセスメント不足、説明の不十分さが示唆された。本調査より、経済面や役割喪失など社会的苦痛のケアスキルを高め意識的な関わりを持つこと、家族の心理や理解度を適切にアセスメントし、家族の認識を現実に近づけるよう説明と支援を行うことが課題と考える。また、家族ケアの質向上のため、看取りに向けた家族への説明や対応をスタッフ間で補完し合い、共通して実施できる教育的介入が必要である。